■フローティングミノー初体験の若者との釣行レポ

この日は2人ともダイソーミノーのみで釣行

 「ねえ、ダイソーの5cmミノーって知ってる?」

 「いや、知らないですね」

 「実はこの前初めて使ったんだけど、意外と使えるんだよ。しかもフローティングだよ。フローティングミノーって使ったことある?」

 「いえ、シンキング(沈む)ミノーしか使ったことないです」

 ダイソー「ミノー(5㎝)」のポテンシャルを感じていた筆者が、よく一緒に釣りに行く若い釣り仲間を誘った時の会話である。

 ちなみにこの若者、渓流ルアーフィッシングの腕前は確かである。地元の山深くで幼少期から釣りに親しみ、源流域で尺ヤマメを何匹も釣ってきた実績がある。しかし、彼が釣りを始めたであろう10年くらい前は、シンキングミノー全盛期。フローティングミノーでの釣り経験がないのは無理もないこと。

水深の浅い流れはフローティングミノーに適したポイント

 この日2人が訪れた渓流は、全体的にフラットで浅いポイントが多く、水量も比較的少ない源流域。午後は用事が入っているため、3~4時間の釣りを想定してコースを選んだ。

試行錯誤する若者の横顔をながめる

 「あれ…… 上手くいかないなぁ」

 ヤマメの多い渓流だが、適当なルアーアクションでは口を使ってくれない。

 「ミノーをターンさせてごらん」

 「ターンって何ですか?」

 「狙ったポイントの水面付近でミノーを方向転換させることだよ。流れの真横に立ち、ポイントの向こう側にキャスト。ルアー着水直後は下流に向けてアクションさせて、ルアーがポイントの真上にさしかかったところでルアーが上流を向くように操作して泳がせる。ちょうどアルファベットの“Uの字”を描くような動きからU字ターンとも言うね」

 自重があって、流れの影響を受けにくいシンキングミノーだとルアーの動きをそこまで意識しなくても釣れることが多いが、この「ターン」というアクション、実は渓流ルアーフィッシングの基本である。ターンが決まり、ミノーに不規則な動きが生まれ、まるでヤマメの闘争本能に一気に火が付いたかのように猛然とバイトしてくる様子はいつ見ても快感だ。

左がフローティング(ダイソーミノー)、右がシンキングミノー

 下流から上流に向けてキャストしたルアーを下流に向けて泳がせて釣る、いわゆる「直(ちょく)アップ」は、シンキングミノーでは効果的な釣り方となるが、フローティングミノーだとかなり難しい。

■100均ルアーで体感する、技術の釣り

コツをつかめば自然に結果がついてくる

 「ターンを効かせるには魚に気付かれないように注意しながらギリギリまでポイントに近づくことが大事だね。理想はポイントの真横に立って釣りをすること。そうすればミノーが水中でポイントの真上付近に来た時、ロッドの先端を上流側に向けるように倒せばルアーにアクションさせられるから、ターンしやすくなるよ」

 「あ、本当だ!  釣れた!  コレ、面白いですね」

 さすがのセンスの持ち主、ほんの少しの時間にフローティングミノーを使いこなし、次々にヤマメを釣りあげてゆく。