■これぞ「山海珍味」!!

山海の珍味と呼ぶに相応しい「このわた」

 「山海珍味(さんかいのちんみ)」とは、山や海で採れた物からつくられた、珍しい味のする食べ物のこと。貴重な食材や料理をたたえるときに用いる語である。

 日本の三大珍味として知られるものに「うに、からすみ、 このわた」がある。ボラの卵巣を塩漬けにして乾燥させた「からすみ」は、形状が中国伝来の墨「唐墨」に似ていることからその名がついたとされ、「このわた」は、原材料であるナマコの古い呼び名が「こ」で、その内臓(わた)を使っていることから「このわた」と呼ばれるようになった。

 最高級の珍味として知られる「このわた」は、ナマコの腸を塩漬けし、熟成させたものである。ナマコの内臓からほんの少量しか取れず、製造にも手間ひまがかかるため、希少価値が高い。まさに山海の珍味である。

 それにしても、最初につくって食べようと思った人は本当に勇気があると思わずにはいられない。

■番外編:「山椒魚」は「魚」じゃない!?

山椒魚は魚? それとも……

 山海珍味といえば、塩焼きや天ぷらにして食べることもある「山椒魚(さんしょううお)」。名前に「魚」とあるが、実際には魚ではなく両生類である。なのに「魚」と付くのは、泳ぐ姿が魚に似ており、皮膚のぬるぬるしたところも魚のドジョウにそっくりだから。さらに皮膚から出る匂いが「山椒」に似ていることが、名前の由来だとされる。

 「魚」じゃないのに「山椒魚」。名前までユニークな山海珍味である。

■日本の美しい情景を表す四字熟語 

田んぼに映る山と雲。この美しさを四字熟語で表現するとしたら……?

 紹介した熟語以外にも「山」の付く四字熟語は多くある。その起源は中国故事や仏典からとされているが、昔の人々も山を眺め、山からさまざまなことを感じ、学んでいたということだろう。山を愛する一人として、そんな四字熟語を何気なく日常で使えるようになりたい。