山と海に囲まれて、一歩アウトドアに踏み出せば動物との出合いも多い日本。鳥や魚、イノシシにサル、そしてシカやクマも身近な里山で見られます。そのほとんどが予期せぬ体験で、貴重な思い出となっている人も多いのではないでしょうか?
そんな体験を通して密かに芽生えたアナタの“野生動物への興味”を、さらに刺激しちゃうかもしれない!? 生き物のちょっと変わった生態や、不思議に思える行動などにグッと迫ってみよう、という本シリーズ。
今回は「長崎ペンギン水族館」を訪問し、ペンギンと睡眠のあまり知られていないエピソードをレポートします。教えていただいたのは、飼育展示課 ペンギン担当・山口あゆ美さんです。
教えていただいたのは、9種類のペンギンに会える長崎ペンギン水族館の飼育展示課 ペンギン担当・山口あゆ美さんです。
■住んでいる場所の気候次第で寝方が変わる
ペンギンは生息環境によって寝る姿に違いがあるのだそうです。
「個体や、そのときどきの状況により違いがあるので一概には言えませんが、寒い場所に住むペンギンは立って眠ることが多く、温暖な場所に住むペンギンほど腹ばいになって寝ることがよくあります」(山口さん)。
ペンギンというと南極などの寒い地域に住むイメージがありますが、実は南米やアフリカ、オーストラリアなど、暖かい地域にも生息している種類がいます。氷点下の世界で暮らすペンギンもいれば、気温20℃以上の場所にいるペンギンもいるわけですが、その環境の違いが、寝姿にも違いを生むのだそうです。

■寒い場合には地面に接する面積を小さくして眠る
「寒い地域で地面に接する面が多いと体が冷えてしまいますが、そういうときは立って眠るんです。頭も首のところからひねって、脇にくちばしを入れるような感じで、できるだけ体温が逃げないようにしています」(山口さん)。
足も地面に接している面を減らすために、かかとだけで立っています。ペンギンの足は常に膝を曲げた状態なうえ、しっぽでも体を支えられるので、安定して立ったまま眠ることが可能です。
「一方、暖かい地域のペンギンは、そのようにする必要がないので、横になったり、立ったままだったり、自由に寝ています。当館で横になって寝ることが多い種類には、フンボルトペンギンやマゼランペンギンなどがいます」(山口さん)。

【DATA】
フンボルトペンギン
分類 ペンギン目ペンギン科ケープペンギン属
分布 チリ、ペルー

【DATA】
マゼランペンギン
分類 ペンギン目ペンギン科ケープペンギン属
分布 アルゼンチン、チリ、フォークランド諸島