■十方山と展望ポイント

十方山に立つ手作りの山頂標識

 小倉山を後に、次は「十方山(じっぽうやま)」へ。登山道は下り基調になり、10分ほどで山頂に到着。十方山は今回のルートで唯一三角点がある場所。標高304.4mと手彫りされた立派な山頂標識が設置されている。

 さらに5分ほど下ると、南東に大きく開けた展望ポイントに出る。淀川の向こうに京都・八幡市や大阪・枚方市の街並みが一望できる。さきほど昼食休憩をしたばかりなのに、眺望とベンチに誘われてまた小休止。標高300mにも満たない場所とは思えない展望で、まさに穴場スポットだ。

■展望ポイント〜水瀬の滝

美しい水無瀬の滝

 展望ポイントから30分ほどの急な下りが続く。今回のルートで注意したいポイント。乾いた土が滑りやすいので慎重に歩こう。

 やがて登山道脇の植生が竹林に変わってきたら、登山口はすぐそこ。美しい竹林をぬけると真下に名神高速道路が見える場所に出る。ここまで来たら、ぜひ立ち寄ってほしいのが「水無瀬(みなせ)の滝」。

竹林の登山道

 高速道路脇の道を北東に向かって進むと、天王山トンネルの入り口がある。水無瀬の滝は、その近くにある、知る人ぞ知る小さな名所だ。天王山を源に流れてくる水が、高さ20mほどの落差で流れ落ちる滝は、迫力こそないがなんとも美しい。春先のため水量が少ないが、夏になれば見応えがありそうだ。

手作りの白蛇親子

 かつて、後鳥羽上皇もこの滝で遊猟を楽しんだと伝わる伝説のある滝で、傍らには雨を司る竜神が祀られている。さらに滝を挟んだ反対側の岩陰には、手作りの白蛇の親子が棲んでいて、なんとも愛らしい。今年が巳年であることもあり、思わず手を合わせてしまう。

■春の足ならしにピッタリのハイキングコース(天王山・京都大山崎町)

天王山の広くて歩きやすい登山道

 水無瀬の滝を後にし、天王山トンネルの下をくぐり抜け、住宅街を線路沿いに20分ほど歩けばJR山崎駅に戻ってくる。

 休憩を含めずに歩けば、全行程2時間40分ほどでJR山崎駅を起点にぐるっと一周できる。またJR山崎駅から徒歩5分ほどの場所には阪急大山崎駅もあり、阪急沿線からのアクセスも便利だ。

 冬の間、登山から遠のいていた方も、まずは足ならしに天王山から山歩きを再開してみてはいかがだろうか。実は、登山歴10年の筆者も今回が初めての天王山。駅近で登れて、展望も楽しめ、想像以上に満喫できた。標識や登山道もしっかりと整備されているので、登山初心者にもおすすめしたい山である。

 

【JR山崎駅から天王山周回コース】所要時間
JR山崎駅 (0:00) → 天王山 (0:45) → サントリー山 (1:00) → 小倉山 (1:15) → 十方山 (1:25) → 展望ポイント (1:30) → 水無瀬の滝(2:15) → JR山崎駅(2:40)
歩行距離:約7.6km
累積標高差:登り 390m、下り 390m
合計所要時間:2時間40分

●【MAP】天王山