■紅山登山コース:小野アルプス一番の人気スポット



岩倉峠を越えると、いよいよ小野アルプス最大の見どころである紅山登山コースに入る。紅山の魅力は、山頂まで続く一枚岩を一気に登るスリルと、頂上から広がる絶景だ。



実際に訪れてみると、その岩場は想像以上に急峻で、まるで岩の壁を登っているような感覚であった。振り返ると、高度感たっぷりの迫力ある景色が広がる。岩場が苦手な人のために、迂回路も用意されているので安心だ。ただし、この岩場は傾斜が急なため、下りで利用するのは大変危険。登るだけにしよう。
なお、当日は黄砂と花粉の影響で春霞がかかっていたものの、紅山山頂からの眺望は格別であった。遠く瀬戸内海まで見渡すことができ、しばし絶景に見入ってしまった。


紅山の次のピークは西紅山(にしべにやま・標高162.7m)。山頂には夫婦岩と呼ばれる大きな岩があり、その周りには驚くほどの賽銭が置かれていた。おそらく小野アルプス随一のパワースポットなのであろう。
■エスケープと下山:日没が迫り撤退



当初の計画では、西紅山のあと、宮山(163.6m)、南野山(147m)へと縦走を続ける予定であった。しかし、各所の眺望スポットで予想以上に時間を費やしてしまい、西紅山に到着した時点で時刻は16時前。なかなか予定通りにはいかないものである。そして西紅山と宮山の鞍部にある標高99mの峠に到達したのが16時だ。日没時間を考慮すれば、標高200m以下の低山とはいえ、これ以上歩き続けるのは危険である。下山を決断した。
小野アルプスのよいところは、思い立ったらすぐそこにエスケープルートがあるということだ。峠道を下ると、わずか5分で登山口に到着した。丸一日山を歩き続けたためか、相当な山奥へやってきたような気分であったが、まさか里がこんなに近かったとは意外。
なお、下山地点から最寄りのJR小野町駅までは約3.3kmあり、50分ほど歩いた。
■お手軽だけど絶景で変化に富んだ「小野アルプス」
小野アルプスは、最高峰でも標高199mと低山ながら、「アルプス」の名に恥じない変化に富んだコースと素晴らしい眺望を持つ連山だ。特に紅山の岩場はスリル満点で、登りごたえがある。
もちろん小野アルプスは全山縦走がおすすめだが、縦走中は小さなアップダウンが連続し、累積するとそれなりの負荷になる。今回筆者はゆっくり歩きすぎてタイムオーバーとなってしまったが、普通に歩けば全山縦走でも5時間前後といったところ。エスケープルートも豊富に存在するため、体力に合わせたルートを組むのもおすすめだ。
アクセスが良く、手軽に達成感と絶景を味わえる「小野アルプス」。ぜひ一度、訪れてみてはいかがだろうか。