日本一低いアルプスとも称される兵庫県のご当地アルプス「小野アルプス」を訪れた。小野アルプスは最高峰でも標高199mという低山。それでいて変化に富んだコースやパノラマ絶景が魅力の山だ。登山口の一つである「白雲谷(はくうんだに)温泉ゆぴか」にあったコースガイドによると、縦走路は大きく3つのエリアに分けられる。

白雲谷温泉ゆぴかにあった小野アルプスコースガイド

1. 東コース:白雲谷温泉ゆぴか ~ アザメ峠
2. 中コース:アザメ峠 ~ 岩倉峠
3. 紅山登山コース:岩倉峠 ~ 鴨池

小野アルプス(国土地理院地図より引用)

 今回、それぞれのコースの特徴や見どころを紹介していくが、各ピークの標高については、国土地理院地図やコースガイド、現地の案内板などで多少の差異が見られた。そのため標高は参考程度と捉えてほしい。

 小野アルプスは登山道も複数存在するため、体力や時間に応じてコースを選びやすい。逆に言えばエスケープルートもまた豊富ということ。

■東コース:アクセス良好、しかし眺望は……

小野アルプスの白雲谷温泉ゆぴか登山口
小野アルプス、高山からの眺望はイマイチ
山の下からもよく見える小野アルプス前山の電波塔

 JR市場駅から登山口の白雲谷温泉ゆぴかまでは約1km、徒歩15分程度。

 最初のピークである高山へは、「パノラマコース」と「リフレッシュコース」の2つのルートがある。今回はパノラマコースを選択したが、予想に反して木々が生い茂っており、期待したほどのパノラマは得られなかった。高山の山頂も木々が成長して、眺望は今ひとつ。

 しかし、次のピークである前山(標高135.8m)には大きな電波塔が設置されており、その周辺からは開けた眺望を楽しむことができた。この電波塔までは舗装された林道が続いているが、一般車両の乗り入れは禁止されているため、車で山頂へアクセスすることはできない。前山を過ぎ、アザメ峠までの区間は、眺望がないものの気持ちのよい山道である。

■中コース:アンテナ山、そして惣山へ

アザメ峠に鎮座する地蔵様
アザメ峠から小野アルプス中コースへの入口
小野アルプス、アンテナ山

 アザメ峠に到着すると、一旦舗装道路に出る。道路を50mほど南下すると、「峠の地蔵」が鎮座しており、その向かい側が中コースへの入口だ。

 中コース最初のピークは総山(そうやま・標高168.1m)であるが、特筆すべきは2つ目のピーク、アンテナ山(標高170.1m)であろう。山頂からは視界が開け、先ほど通過した総山を正面に望むことができる。

小野アルプス、アンテナ山に咲くスミレ
小野アルプス、アンテナ山から中コース最初のピーク惣山を望む

 アンテナ山の次に目指すのは惣山(そうやま、198.9m)だ。中コース第1ピークの総山(そうやま)と読みは同じで、ここが小野アルプスの最高峰となる。惣山山頂からの眺望は素晴らしく、特に灌木と遠景が織りなす風景は美しい。

小野アルプスの最高峰、惣山山頂
小野アルプスのあちこちにあるギフチョウ採集禁止の看板
惣山から岩倉峠へ下る九十九折の坂

 ちなみに本来の予定は、惣山から縦走路を少し逸れ、眺望が良いとされる小野見山(おのみやま・標高187.2m)へ立ち寄るはずであった。しかし、次に控える小野アルプス最大の見どころである紅山(べにやま・標高184m)への期待感から、小野見山の存在を失念。次の紅山中腹から惣山を眺めた時、小野見山が目に入り、失念に気付いたのである。非常に心残りなので、いつか機会を見つけて訪れるとしよう。

 惣山から岩倉峠へは、九十九折りの急な下り坂が続く。