2月に入り冬も本番だ。登山やハイキングを楽しみたい人にとっては悩ましい季節でもある。春が待ち遠しい人も少なくないだろう。今回は、冬だけど春を感じさせる「花見」スポットを紹介したい。梅よりも桜よりも早く「花見」を楽しむことができる場所だ。

■神奈川県松田町「寄」に2万本を超えるロウバイ!

見頃を迎えたロウバイの花。香りも楽しむことができる

 神奈川県の松田町・寄(やどりき)からは丹沢・鍋割山(なべわりやま・標高1,272m)への登山道が延びている。

 登山口となる寄の集落から鍋割山へと登るルートを紹介するのだが、主役は山頂ではなく麓に広がるロウバイだ。

 ロウバイは中国からやってきた落葉低木の一種で、1月ごろから開花し、花見ができる。漢字で「蝋梅」と書くが、梅ではない。地域によっても異なるが、梅の花の見頃は2月の初旬のため、梅よりも早く楽しむことができる。ロウバイは黄色い小さな花を咲かせ、特有の香りも楽しめ、香りと共に春の訪れを感じさせてくれる。

 寄にはロウバイ園があり、毎年1月の中旬から2月中旬にかけて「ロウバイまつり」が開催される。約20,000本のロウバイが植えられており、訪れた人を楽しませてくれる。

 筆者が訪れたのは見頃を迎える少し前の1月下旬だったため、比較的人が少なく、ゆっくりと満喫することができた。

見頃を迎えたロウバイの花。香りも楽しむことができる

 まつり開催期間は近隣駐車場はロウバイ園に訪れる人のために解放され、登山者は利用できない。そのため、公共機関を使ってのアクセスがおすすめ。小田急小田原線・新松田駅から約30分ほどで寄バス停に到着できる。

■ロウバイ園を抜けて、目指すは鍋割山

登山道に入る前の展望地。里山の景色が広がる

 ロウバイ園を抜け、集落を後にすると鍋割山への登山道が見えてくる。登山道に入る前に寄の集落を見渡せる展望地もあるため、里山の風景を楽しむといい。

 冬の森は静かで、自分が落ち葉を踏む音だけが聞こえ、森の静かさを体験できるのも冬の登山の楽しみだ。

後沢乗越から鍋割山山頂へと向かう。急な区間もあるが、整備されているため歩きやすかった

 寄バス停から森の中にひっそりとある櫟山(くぬぎやま)を抜け、アップダウンを繰り返しながら約2時間40分、後沢乗越(うしろさわのっこし)までやってくると、登山道は大倉からの登山道と合流し、賑やかになる。

 後沢乗越からは勾配も急な区間になるため、ペース配分には気をつけたい。しかし急な区間は長くはなく、木道が設置されている箇所も多くなるため、危険もなく歩きやすかった。

 標高を上げていくと針葉樹の森は広葉樹の森へと変わり、冬枯れした森には日がよく差し込んでくる。気温は低いが、日差しの温もりを感じながら山頂を目指せるだろう。