鍋割山(なべわりやま)は、神奈川県の秦野市(はだのし)、松田町、山北町(やまきたまち)の境界に位置する標高1,272mの山で、丹沢(たんざわ)の代表的な山のひとつだ。

 丹沢とは、神奈川県の面積の約6分の1を占める広大な山地で、その豊かな自然環境は、丹沢大山(たんざわおおやま)国定公園に指定されている。都心からのアクセス性のよさや豊富な登山コースがあり、人気も高く、通年多くのハイカーが訪れる。

 今回は、大倉(おおくら)を起点とした表丹沢と呼ばれるエリアの鍋割山登山をレポートする。山頂は主に西側が開けており、雄大な富士山や相模湾(さがみわん)を見渡せる。また、山頂でハイカーを迎えてくれる鍋割山荘では、鍋焼きうどんを提供しており、これを目当てに鍋割山を目指すファンも多い。鍋焼きうどんを求めて鍋割山に登る際は、売り切れてしまうこともあるので気をつけてほしい。

 山頂へと続く登山道もしっかりと整備されており歩きやすく、沢のせせらぎと美しい紅葉を眺めながら歩ける。

■表丹沢の玄関口「大倉登山口」から出発!  二俣・後沢乗越経由で登る「鍋割山(なべわりやま・標高1,272m)」往復コース

大倉バス停から「大倉尾根」ではなく「二俣・後沢乗越」経由で鍋割山へ!

 大倉登山口からは、塔ノ岳や丹沢山に向かう「大倉尾根」コースの利用が最も多い。ちなみに大倉尾根は、その長さと延々と続く階段の単調さもあって、ハイカーからは親しみを込めて「バカ尾根」の通称で呼ばれている。

 今回は、数多くのハイカーを苦しめてきた大倉尾根を避け、二俣(ふたまた)・後沢乗越(うしろざわのっこし)を経由するコースを通り、鍋割山を目指した。急勾配の大倉尾根に比べ、こちらのコースは二俣までは傾斜が緩やか。尾根に出てからの紅葉が見事な広葉樹林帯を楽しみに登りたい。

●大倉バス停へのアクセス方法

大倉バス停前のレストハウスで準備を整える多くのハイカー

 塔ノ岳(とうのだけ)、鍋割山、丹沢山(たんざわさん)の登山拠点である大倉へは、JR小田急線・渋沢(しぶさわ)駅より神奈川中央交通バスを利用してアクセスする。渋沢駅と大倉を結ぶバスは1時間に3、4本程度だが、混雑状況に応じて臨時バスも出る。詳しくはホームページ等で確認してほしい。

 渋沢駅から約20分ほどバスに揺られ到着した大倉バス停は、秦野戸川公園(はだのとかわこうえん)に隣接しており、近くに売店、飲食店もある。バス停に隣接したレストハウスは平日は9時から、土日祝は7時から営業しており頼もしい存在だ。

 なお、マイカーでアクセスする際は、バス停の向かい側に、ゲート式の登山者向けの駐車場があるが、台数が限られているので注意が必要だ。

●二俣・後沢乗越経由、鍋割山往復コース 所要時間

【大倉バス停から鍋割山往復コース】所要時間
大倉バス停 (0:00) → 二俣 (1:20) → 後沢乗越 (2:05) →鍋割山 (3:20) → 大倉バス停 (6:00)
歩行距離:約17km
累積標高差:登り 1,306m、下り 1,306m
合計所要時間:6時間