■地元のベテランオジイと数釣り対決! 勝敗はいかに?
今回、筆者が向かった場所は霞ヶ浦(西浦)の北部にあるとあるホソ。ここも現地で顔見知りになった釣り人との情報交換によって知ることのできたポイントである。事前の情報によると、このホソは昨シーズンはあまり釣れなかったようなのだが、今年は好調のようですでに数人の先行者がタナゴ釣りを楽しんでいた。
するとそのなかに見覚えのある男性のうしろ姿があった。地元の人で年齢はおそらく80歳を超えている。耳は少し遠いが背筋はピンとしており話す口調もしっかりしている。以前に聞いた話では体力維持を目的にシーズン中は毎日のようにホソで数時間小物釣りを楽しんでおり、ボケ防止と称してタナゴ竿やウキ、極小針なども手作りしているとも話していた。いわゆる地元の釣りが大好きなオジイである。
「お久しぶりです」と挨拶を交わすと「すぐそこにタナゴが溜まってるよ!」と指をさしてポイントを教えてくれた。せっかくのご厚意なので、オジイの対面に釣り座を構えることにした。
タナゴ釣りのベテランを前に釣りができるとは朝から運がいい。彼が使用している仕掛けや道具、エサの付け方やアワセの動作などタナゴ釣りの一連の動作を学べるまたとないチャンス。今日は彼からタナゴ釣りのいろいろなテクニックを盗むことにしよう。
そして釣りを開始してから1時間ほどが経過すると、エサに引き寄せられて目の前にタナゴがかなり集まってきた。仕掛けを入れるたびにアタリが頻発するため、休む暇がないほどである。体もだいぶ温まってきた。これはいい機会だと思い、オジイに「タナゴの数釣り勝負」を挑むことにした。
しかし、筆者とオジイの釣りの腕前には大きな差があることは明白。面と向かって勝負を挑むのはあまりにも無謀であり失礼なので、ひっそりと私の心の中で挑戦状を突きつけた。
タイムリミットは60分、恨みっこなしの真剣勝負である!
そしてこれ以上ないくらい全力を出し切り、釣りに集中すること60分。勝負の結果は皆さんすでにお分かりのように筆者の完敗。「39対19」匹と約2倍の差をつけられてしまった。オジイは途中で長めのタバコ休憩を挟んでの釣果なので、本気を出せばおそらくこんなものでは済まなかっただろう。地元のオジイ恐るべしである!
それにしてもオジイの無駄のない流れるような釣りの動作には目を見張るばかりだった。すべての所作が美しく自分もこんな風に釣りができるようになりたいと本当に思った。新子という小さなタナゴを釣るには筆者の仕掛けはあまりに大きすぎる(重すぎる)ことも今回よくわかった。気になった点を改善すれば、きっともっとたくさん釣れるはずである。次回の釣行が本当に待ち遠しくてならない。
使用したタックルと道具は以下の通りである。
【筆者の使用タックル】
ロッド:タナゴ竿 長さ50cm
仕掛け:市販のタナゴ釣り用のセット仕掛け(連動シモリ仕掛け)
エサ:タナゴ用のグルテンエサ(練りエサ)
【あると便利な道具】
小物用の針外し:魚に触れず針が外せる
練りエサ入れ:練りエサの乾燥を防いでくれる
折りたたみ椅子:釣り場での腰掛け
水汲みバケツ:釣った魚を生きたまま一時的に入れておくもの
エアーポンプ:水汲みバケツに入れた魚に酸素を供給するポンプ
小型の観察水槽:釣った魚を横から観察できる
手洗い用の水:ペットボトルに水道水を入れて用意
タオル:濡れた手を拭くために使用
■これからの時期は、水温が上がる9時以降がおすすめ
今回、霞ヶ浦で昔から楽しまれているタナゴの新子釣りを紹介した。タナゴというただでさえ小さな魚のしかもその幼魚が相手なので、針掛かりさせるのがとても難しくかなりの苦戦を強いられてしまった。しかしこのなかなか思い通りにいかないところがこの釣りの楽しさであり、また挑戦したいと思う原動力になるのである。
これから寒さが増してくると、ホソの水温は下がり、タナゴの活性も徐々に落ちてくる。朝一などの寒い時間帯はタナゴもなかなかエサを食べてくれないことが多くなる。しかし、日が昇り水中に光が差し始めると、水温が上がりタナゴの活性も上がってくる。もしこれからタナゴ釣りに挑戦してみたいと考えている方は、朝は少し遅めの9時頃から釣りを始められるようにするといいだろう。冷えた空気の中で熱いタナゴ釣りをぜひ楽しんでもらいたい。
【注意事項】
霞ヶ浦周辺のハス田ではこれから年末にかけてレンコンの収穫が最盛期を迎える。農作業用の軽トラックや小型重機の出入りが頻繁になるので、釣り場近くに車を停める際には農作業の邪魔にならないようくれぐれも注意しよう。もちろん釣り場でのゴミのポイ捨てなども厳禁である。霞ヶ浦・北浦では湖の堤防外にあるホソでの釣りは遊漁券が不要。ただし、桜川、常陸川、新利根川など一部の流入河川で釣りする際は遊漁券が必要になる。