この秋、ついにプリムスのシングルバーナー「P-157 インテグストーブ(以下、インテグストーブ)」が満を持して発売。北欧スウェーデンで130年以上に渡ってガス燃焼器具を手がけてきたプリムス社と、日本のパートナーであるイワタニ社が共同開発したMade in Japanのシングルバーナーとあり、大きな話題を呼んでいます。
スペック以上に、フィールドでの使い心地が気になっている方も多いはず。そこで、この新作をいち早くゲットし、1か月ほどいろいろなフィールドで使い倒してみました。手のひらサイズのボディに、一体どのような機能が盛り込まれているのか。リアルな使用感をレポートしてみましょう。
■プリムス初のレギュレーター機構内蔵モデル
まずもっとも大きな特徴は、レギュレーター機構を内蔵した新型バルブを採用していることでしょう。
レギュレーターとは、簡単に言ってしまえば、ガスの噴出を一定に保ち、火力を安定させるための機構です。例えば、カートリッジの内圧が高まる温かい環境下ではガスの流入を抑えて燃費と燃焼効率を最適化し、反対に寒い時期や連続使用で内圧が下がってきた時にはガスの流路を開いて火力を一定に保ちます。
実際に、10〜11月の標高2,000mを超える山中で炊飯用に使ってみたのですが、トロ火にした状態で連続使用しても火力が安定して続くことには驚きました。寒い場所はもちろん、平地のキャンプでも連続で使い続けると、火力が次第に落ちてきてしまうようなバーナーも少なくないのですが、インテグバーナーはレギュレーターの効果で、非常に寒さと連続使用に強い印象です。
■すり鉢形状のヘッドには2つのワケがある
同じく、アウトドアでの使用で効果的に感じたのは、すり鉢状のバーナー形状です。
これまでプリムスのバーナーはドーム型のヘッドを採用したモデルが多かった(炎が広がるので、調理はしやすかったが風の影響を受けやすかった)のですが、この新作は耐風性能の高いすり鉢状なことが特徴です。
この形状は耐風性の高さだけではなく、炎を内側に収束させることで炎と鍋底が接する時間を最大化し、熱効率を高めるための設計でもあるそうです。
適度な広がりのある炎の形状は熱効率は高いけれど、凝った料理に使うには難があった同社のフェムトストーブⅡやエクスプレススパイダーストーブⅡほど、極端な収束型の炎(鍋底の1か所に炎が集中して焦げやすい)ではありません。トロ火の調整もしやすく、早く湯を沸かしたい方にも、しっかり料理をしたい方にも便利な万能型、と言えそうです。
スペック上の火力は2,840kcal/h。同社のウルトラバーナー(3,600kcal/h)の方が数値は大きいのですが、山で使い比べてみると、炎とバーナーヘッド形状が相まって、状況次第ではむしろインテグストーブの方が早くお湯が湧くように感じられました。