登山中、スマートフォンやカメラを構えてきれいな景色を撮影する姿は、今や当たり前の光景として見られるようになった。

 どちらも撮影機材の点では同じだが、性能や使い勝手は異なる。では、どのようにしてスマートフォンとミラーレス一眼カメラを選択すればいいのだろうか。今回は実際の撮影シーンで迷わないように、それぞれのメリット&デメリットを紹介する。

■筆者がミラーレス一眼を使う理由

12年前にミラーレスカメラで撮った八ヶ岳

 筆者がミラーレスカメラを手にしたのは、10年ほど前。当時は登山記録を残すために、スマートフォンで撮影していた。しかし次第に記録だけでなく、一期一会の山の美しさをもっと残したいと思うようになり「スマホよりきれいに撮れるものがほしい」と、カメラを探したときだった。

●一眼レフカメラより小型で、軽い

 気軽に撮影できるコンパクトデジタルカメラだと納得のいくモデルがなく、一眼レフカメラだと性能は優れているものの、大きく重たいので登山に持っていくのは億劫になる。そうして行き着いたのが、ミラーレス一眼カメラだ。

 当時手にしたのは、ペンタックスの「QーS1」。小型でレンズバリエーションもあり、八ヶ岳をはじめとした山々でもフットワークに優れた撮影ができ、それでいて画質も当時のスマートフォン以上で興奮したのを今でも鮮明に思い出す。

●多彩な表現ができる

 ミラーレス一眼は望遠や近距離での撮影など、スマートフォンでは難しい多彩な撮影ができる。背景をぼかしたり、水流がまるで絹糸のように流れる写真や、満点の星空など、自分が思い描いた瞬間が収まっていくのは楽しいの一言だ。

 はじめから思うように撮れていた訳ではなく、設定や撮影方法に悩むこともあったが、コツコツと山に足を運び、何枚も写真を撮っていく中で納得のいくものが増えていった。

 使う度に表現が増え、世界が広がっていく感覚を味わえるのは、ミラーレス一眼を持っていたからこそだ。

●撮影がとにかく楽しい

 景色を前にファインダーを覗き、シャッターを押す。これがとにかく楽しい。カメラという機械を持ち歩き、手足のように使いこなす感覚はスマートフォンにはない新鮮な感覚だ。この一連の動作を満喫するためにカメラを持ち出したくなることもある。