海にほど近い山々は、山頂から海の景色を一望でき、登山にひと味違った魅力を与えてくれる。静岡県静岡市にある浜石岳(はまいしだけ・標高707m)は、山頂から伊豆半島や駿河湾を見渡すことができる。今回は駿河湾に面した沿岸海抜0m付近の駅から浜石岳山頂を目指すルートを紹介したい。
山頂から富士山を望むことができるが、ちょっとユニークな「逆さ富士」を見ることができるので、富士山好きにはぜひおすすめの山だ。
■海に面した駅からのどかな里山を歩いて浜石岳へ
浜石岳へは、JR東海道本線「由比駅(ゆいえき)」が起点となる。由比駅から市街地を抜け、みかん畑の里山を歩き浜石岳を目指す。
駅からしばらくは起伏は穏やかだが、住宅がなくなり、みかん畑が目立つようになると勾配は急になってくる。途中、ベンチが設置されているので休憩をとりながら登ろう。
由比駅から1時間55分で、浜石岳登山者駐車場へと到着する。ここまでは舗装路だが、浜石岳登山者駐車場から先は登山道となる。マイカーであればここまで車で来ることができるが、駅から歩いて山頂を目指すのがおすすめ。そのほうが登りがいがあるのと、山頂に着いた時の達成感にも違いがあるからだ。
登山道へ入り、針葉樹林に囲まれた登山道を10分ほど進むと、浜石岳三本松に到着する。浜石岳三本松は「浜石野外センター」の中にあり、展望台にもなっている場所で、海側の眺望がすばらしい。
浜石岳三本松から浜石岳山頂までは約40分。浜石岳三本松から勾配の急な区間が続く。30分ほど歩くと、薩タ峠(さったとうげ・タは土へんに垂)へと続く分岐点に着く。このあたりから勾配は緩やかになり歩きやすくなる。
やがて樹林帯を抜けると芝生の広がる草原となり、草原の向こうから富士山がせり上がるようにして現れる。
海に面した由比駅から登り始め、浜石岳の山頂に到着したとき、アルプスなどの標高の高い山とはまた違った達成感を感じることができた。浜石岳は標高707mで決して高いほうではないが、海抜0m付近から登ると標高差は約700mあることになり、登りがいを感じられる。