■美しい紅葉と沢の流れに癒やされながら歩く「鍋割山」登山レポ
●大倉登山口から沢に沿って二俣を目指す
大倉バス停で準備を整えたら、鍋割山に向けて出発だ。大倉には多くのハイカーが訪れるが、目的地によって登山口が異なるので、案内板をしっかり確認しながら進もう。多くの人が塔ノ岳・丹沢山方面へと続く大倉尾根に向かうので、今回のコースを選択する場合は間違ってついていかないよう注意してほしい。
車道から林道に入って15分ほどで「丹沢大山国定公園」の看板が見える。このあたりまではまだ登山道の傾斜は緩やかで、ところどころで紅葉が見られる。
周囲の自然を楽しみながら歩くこと1時間、「表丹沢県民の森」の看板があり、脇道へ入り5分ほど歩くと、落差15mほどの「黒竜の滝(こくりゅうのたき)」を見ることもできる。時間に余裕があれば立ち寄ってもいいだろう。
県民の森の看板を過ぎたら、間もなく二俣だ。大倉から二俣までは、1時間20分ほど。
●二俣から枯れ沢のジグザグ道を通り、後沢乗越へ
二俣から後沢乗越までは距離にして2.4km、所要時間は約45分。15分ほどで、ミズヒ沢の渡渉ポイントに出るが、橋が渡されているので心配無用だ。
ここで林道は終点となり、登山道に入っていくのだが、大量のペットボトルが置かれているので気づくだろう。これは山頂にある鍋割山荘で使用する水を運ぶためのもので、ザックに余裕のあるハイカーがボランティアで運ぶことができる。
ミズヒ沢を通過し、再び樹林帯へと進む。この辺りも傾斜は比較的緩やかだ。一部にハシゴが掛かっていたり、滑りやすい箇所があるので慎重に登ろう。
樹林帯を抜けたら、次はジグザグに備え付けられた木橋を進む。ほどなくして後沢乗越に到着だ。
●後沢乗越から一本道を通り、鍋割山山頂へ
後沢乗越は、尾根道との合流地点であり、鍋割山登山における重要ポイント。後沢乗越の分岐を過ぎれば、後は山頂まで一本道を登るのみ。 檜洞丸や三ノ塔といった丹沢の山々が、ときおり顔を出す尾根道。休憩を挟みながら歩くこと約1時間、鍋割山荘の電力を賄うソーラーパネルが見えてきたら、山頂はもうすぐだ。
山頂は広く平坦で、大人数となっても十分休憩できるスペースが備わっている。
山頂に建つ鍋割山荘は、月曜・金曜を除く平日は11時から、土日祝は10時より営業しており、名物の鍋焼きうどん(1,500円・税込)は行列ができるほどの人気だ。鍋焼きうどんを目的に登る人は、週末には売り切れてしまうこともあるので、早めの行動を心がけるといいだろう。念のため食料は持参しておくことをおすすめする。
筆者は、紅葉狩り目当ての鍋割山登山だったが、登頂時にはすでに「終売」の看板が立てられており驚いた。
山荘の前には、多くのハイカーが座れるように整備された手製の石段がある。富士山と相模湾を望む、大自然眺望の特等席だ。紅葉を迎える11月からは、寒さも厳しくなるが、皆一様に、言葉を失い美しい景色に見入っている。ときおり聞こえる、鍋焼きうどんをすする音も、鍋割山ならではの効果音だ。
■懐の広い丹沢山塊登山の注意ポイント!
魅力的な山々が多くそびえる丹沢山塊。中でも比較的ゆるやかな鍋割山を紹介したが、行動時間は休憩を除いて6時間を要する。丹沢の山は総じてコースタイムが長くなりがちなのだ。
特にこれからの時期は日照時間が短くなるため特に注意が必要である。11月でも日によって冠雪することがあるので、余裕を持たせた行動計画であっても、ヘッドライトや防寒具は必携。準備を万全に整えたうえで、美しい紅葉とともに、丹沢の山を楽しんでほしい。
鍋割山荘
住所 〒259-1335 神奈川県秦野市三廻部
電話 0463-87-3298
ホームページURL https://nabewari.net/
※記載の情報は11月時点のものです。営業日など詳細はホームページよりご確認ください。