■いよいよトレイルメンテナンスを体験
我々のチームの整備ポイントに到着した。まずは普通に通ったのだが、道はかなり細く傾斜もあり、滑りそうで怖い。ちょうど触れられる高さに曲がったブナの木が何本かあったため、手で支えながらなんとか全員下りることが出来た。雨が降っていたら尻もちをつきそうなルートだ。
大西さんが考える整備方法をGATCの方へ伝える。内容は、まず山側の斜面を削ることで狭い道幅を拡張し、ステップを作って歩きやすくするというもの。GATCの方はそれに賛同した上で、いかにトレイルのルート上に雨水を通さないかを考えることが大切なので、補修箇所の他のポイントについてルート外に雨水を流す斜面を作ろうと付け加えた。とにかく水の気持ちになってどこに流れたいか考える「Trail Eye(トレイル アイ)」を養うことが大事だと繰り返された。
実際に、水の流れを変更するメンテナンス例を見せてくれた。本来は踏みならされたトレイルのルートに沿って雨水が流れていく。放っておくとルート上に土手が作られ、さらにえぐれが進み傷んでいってしまうため、それを防ぐために雨の通り道をトレイルから外に逃がし、水の流れを拡散して勢いを分散させるというもの。
慣れていないと水の流れをイメージできないため、赤いフラッグを立てて水を流す方向を確認し、作業を行うスタッフ全員で共通の認識が持てるようにしてから、その向こう側を掘って傾斜を作ることで雨水を逃す整備になる。
筆者は1か所目の急だったルートの整備に参加した。幅を広げるため山側の斜面を削り、その後歩きやすいように段を作っていく作業となる。
元々傾斜がきつい場所のため、ふらつかずに立っているだけでも体幹を使うのに、道具を振りかざし引っかかる根っこや岩をどかしながら作業をするのは想像以上に骨が折れた。こちらも同様に、水平にステップを作るのではなく、道の外に雨水を逃がすため少し谷側に傾斜をつけておくのがポイント。
目指すゴールの形は、土が崩れないように丸太などを設置するのだが、時間が限られていたためイベントでの作業は段を作ったところまでで終了。それでも足場が広がってステップが出来たため、整備する前と比べ格段に歩きやすくなった。
■イベントを終えて
ワークショップを終え、参加した皆さんで感想を言い合った。今までとは異なる新しい視点が養われた、愛着が湧いたのでまた来シーズン来てみたい、一緒に作業したことで友達になれてとても楽しかった、など前向きなコメントばかりだった。中には、トレイルの中にいるのは幸せだから出来れば永遠に山に居たい、ジョブオファーお待ちしています! という山愛に溢れるコメントまで出て、和気あいあいとした雰囲気の中イベントは終了した。
信越トレイルクラブの事務局長 大西さんによると、積雪期が終わりまた来春から週に2回程度の頻度でトレイルメンテナンスのイベントを実施するとのこと。興味を持った方はぜひホームページをチェックしてみてほしい。