八ヶ岳連峰(やつがたけれんぽう)の北側に位置する蓼科山(たてしなやま)は、日本百名山のひとつだ。標高は2,531m。長野県にあり、富士山に似た円錐型をしていることから、諏訪富士(すわふじ)ともよばれる。

 山頂まで登るルートはいくつかあり、日帰りも可能だが、今回はあえて山頂の山小屋に泊まるコースを紹介したい。

 泊まることで長いルートも体力に余裕をもって歩けて、山頂の山小屋ではちょっと特別な音楽体験もできる。

■1泊2日の蓼科山周遊コース

景観の美しい双子池(雌池)

 大河原峠(おおがわらとうげ)駐車場を出発点にして、1日目は山頂まで登りのルートを行く。

 最初は緩やかな山道が続くので、体力に余裕が感じられる。蓼科山荘のある将軍平(しょうぐんだいら)を過ぎたあたりから、大きな岩がゴツゴツとした急坂が現れてきつくなる。岩に手をついて登る場面もあるので、怪我をしないよう手袋があるとよい。

 山頂からは天気がよければ、八ヶ岳連峰を一望できる。残念ながら筆者が行ったときには眺望が楽しめなかったので、次回に期待したい。

 2日目は、双子山(ふたごやま・2,223m)を通過するアップダウンのある下山コースだ。体力は必要だが、いろいろな景色が楽しめて飽きずに歩ける。

 下山にはさらに短いルートもあるが、ぜひ双子池のあるコースを周ってほしい。双子池は青空と緑のコントラストが美しく、水面には木々や空に浮かぶ雲が映し出される。心に沁みる景観がその場を離れがたい気持ちにさせる。

【蓼科山周遊コース<1日目>】所要時間
大河原峠駐車場 (0:00) → 将軍平 (1:20) → 蓼科山頂ヒュッテ (2:00) → 山頂 (2:10) → 蓼科山頂ヒュッテ (2:20)

【蓼科山から双子山周遊コース<2日目>】所要時間
蓼科山頂ヒュッテ (0:00) → 将軍平 (0:30) → 将軍平分岐 (1:20) → 天祥寺原 (1:30) → 亀甲池 (きっこういけ)(1:55) → 双子池 (2:40) → 双子山山頂 (3:20) → 大河原峠駐車場 (3:40)

歩行距離/約9.2km
累積標高差/登り 851m、下り 846m
合計所要時間/6時間

■ギターやピアノ演奏が楽しめる、趣のある蓼科山頂ヒュッテ

蓼科山頂ヒュッテのくつろぎスペース

 蓼科山の登山の魅力として紹介したいのが、蓼科山頂ヒュッテだ。

 おいしそうな夕飯が食卓に並び、みんなで食事をしていると、山小屋の奥さんのピアノの生演奏が始まった。みんな静かに聴き入り、しっとりとした雰囲気に包まれる。下界で聴く以上に特別感があり、贅沢な気分にさせてくれる。演奏が終わると歓声と拍手が沸いた。

 ギターも置いてあり、どちらも宿泊客が自由に弾ける。

 さらに驚くことに、山小屋には本格的な大型スピーカーが2台設置されている。お気に入りのCDを持ち込むと曲を流してくれるそうだ。生演奏を録音したライブ盤のCDを流すと音のよさが際立つので、あれば持っていってみよう。

蓼科山頂ヒュッテ
住所 〒391-0301  長野県茅野市北山冷山1205 蓼科山頂上 
電話 090-7258-1855(山小屋直通)

ホームページURL:https://www.tateshinayama.com/
※営業日時はホームページよりご確認ください