■「日本さくら名所100選」に選ばれている夙川公園
阪急神戸線の夙川駅は、夙川をまたぐ形でホームが設置されている。ただ、川幅が狭いので阪神の武庫川駅ほどもダイナミックさは感じられない。
甲陽線は東西に通じる神戸線から北側に延び、途中までは夙川に沿っている。夙川の河川敷は「夙川河川敷緑地」(通称:夙川公園)として整備されており、「日本さくら名所100選」にも選ばれている。もちろん花見以外の季節でも、憩いの場や散歩、ウォーキング、ジョギングのコースとして利用する人は多い。
そんな夙川の土手を歩くと「こほろぎ橋」という、風情のある名前の橋が架かっていた。人が一人通れるほどの幅で、構造はアーチ式。
名前の由来は、かつて橋のたもとに「神(かみ)の木」と呼ばれる木があり、やがて「神(こう)の木の橋」から「こほろぎ橋」になったといわれている。
こほろぎ橋をわたり、そのまま川に沿っての散策も考えたのだが、公園をぶらぶら歩くだけでは目新しい発見もできないであろう。
ということで、夙川と甲陽線の間にある市道を歩いて苦楽園口を目指した。
■閑静な住宅街を歩いて苦楽園口へ
西宮七園のうち香櫨園は夙川駅から南に位置する。苦楽園は苦楽園口から約1km西側だ。つまり夙川駅から苦楽園口駅までの間は、どちらの住宅街からも離れていることになる。
とはいえ、そこは高級住宅地の点在都市。少しばかり離れたからといって、格段に地域の雰囲気が変わるわけではない。デザインを競い合うような戸建て住宅が立ち並び、それなりのお屋敷もある。ただ、目を見張ってしまうほどの豪邸が見当たらない。
しがないライター風情が口にするのもおこがましいし、この土地に家を建てたり、購入したりは逆立ちしてもできないのも百も承知だが。
そんなことをしみじみと考えながら、苦楽園口駅に到着。駅の前には秋祭りをしらせるのぼりや提灯が飾られていた。
西宮市も大阪の岸和田市などと同様、秋祭りにはだんじりが曳き出されるのだ。
そして、苦楽園口駅から15分ほど歩いたところには、忘れてはならない記憶をとどめておくための場所が設けられているのだった。
―つづく―