車中泊や観光、アウトドアアクティビティのツールとして、右肩上がりのキャンピングカー需要。2023年も前年までと同様、国内の保有台数・販売総額ともに過去最高を記録した。
レジャーの身近なアイテムとして浸透するなか、7月20日(土)「東京キャンピングカーショー2024」では「第1回 キャンピングカーシンポジウム」が開催。キャンピングカーの新たな社会とのかかわりについて、4人のパネリストによるディスカッションが交わされた。
■第1回 キャンピングカーシンポジウムのテーマは「キャンピングカーと防災」
シンポジウム初回のテーマは「キャンピングカーと防災」。パネルディスカッションに先駆け一般社団法人日本RV協会会長の荒木賢治氏から、元日に発生した能登半島地震での対応が報告された。
日本RV協会では、これまで60台のキャンピングカーを珠洲市と輪島市に派遣。全国から被災地へ支援に入る、自治体を中心とした応援職員たちの宿泊施設として使用された。
現地を訪れた荒木賢治氏によると、東日本大震災や熊本地震と比べ道路の寸断が激しく“生きている町”までが遠いこと、20台を率いて現地入りした1月11日は6時間以上かけて被災地へ到着したことなど、困難な状況とともに当時の様子が伝えられた。
“移動可能な家”ともいわれるキャンピングカーは寝具やエアコン、トイレを備え、設置から使用までの時間が短くて済む。機動力を生かしたさらなる活用や、応援職員やボランティアの受け入れに向けて、日本RV協会は支援プロジェクトを発足させた。会員企業のスタッフを継続的に現地へ派遣、貸与中の車両のメンテナンス等を行っていくという。
■「機動性」と「オールインワン」がキャンピングカーの強み
パネルディスカッションには荒木賢治氏のほか、タレントの田村淳氏とNPO法人全国災害ボランティア支援団体ネットワーク事務局長の明城徹也氏、アウトドア防災ガイドのあんどうりす氏の計4名が参加。
まず能登半島地震について、道路状況が厳しく復旧すらまだ半ばである実態と、高齢化の進んだ過疎地の被災者への対応など、今後起こりうる災害の課題が凝縮された震災ではないかと述べられた。
そして被災地活動でキャンピングカーの優れている点は、機動力をいかした初動スピードや、衣食住がオールインワンで完結する利便性であるとした。一方で、まとまった台数での派遣体制づくりが課題としてあげられた。
同様のメリットを示しながら明城氏からは、長期にわたる車両使用の際に、どれぐらいから地域インフラに頼る必要がでてくるのかと、無補給時のキャパシティについて疑問が投げかけられた。