■キャンピングカーと防災「防災の可能性と業界への期待」

 キャンピングカーの様々な可能性についてはオーナーともなれば実感できることではあるが、購入費がひとつのハードルとなる。

 あんどうりす氏は障害を持つ子どものいる家庭やペット連れ、医療ケアを必要とする方などのニーズを紹介したうえで「複数オーナー制で、いわばサブスクのような形態で所有するのはどうか」とアイデアが出された。

キャンピングカー所有は家族レジャーと防災の両方を考えてのことと語った田村淳氏。能登半島地震被災地を3度訪れている(一般社団法人日本RV協会)

 自身もユーザーである点を交えながら田村淳氏は「何かがあった時に1台あるだけで頼りになる存在。備えになるし、必要なものだという向き合い方を広めたい。被災者にも救助者にもなるという視点でキャンピングカーを持つ時代になれば」と話し、普及について「レジャー以外の使い道について国の補助金制度を導入できないか。災害時には優先的に車両を現地へ持ち込むという条件で、購入費を抑えることができるのではないか」と提言を語った。

すぐに災害現場へ動員をかけられる、体制づくりが求められる(一般社団法人日本RV協会)

 荒木賢治氏はアメリカの事例も踏まえ「これまでと違って能登半島地震では初動から関わったことで有用性を知ることができた。ただし現状では、例えばすぐに100台持ってきてくれといわれても難しい。企業や自治体が福利厚生の一環として保有することや、レンタルキャンピングカーを活用して、災害となればすぐに集められる台数を増やし、スキーム化やマニュアル化で平時からの準備体制をつくりたい。きれいごとだけでは普及しないが、実は導入にはコスト面のメリットもあり、広げていくことができる」と業界内に呼びかけ、ビジョンを示した。

 身近なシェルターとしての使用はもちろん、大きな災害時の強固なバックアップとなりえるか、キャンピングカーの今後に期待したい。シンポジウムは地方創生やアクティブシニアといったテーマで、この先も開催予定だ。