■6. チングルマは草ではなく、落葉低木の一つ
梅の花によく似た白い5枚の花びらを広げる「チングルマ」。草丈10〜20cmほどのため、草と見間違える人が多いが、実は落葉低木の一つだ。花と葉をかき分けてみると茎ではなく、枝があるのがわかる。
群生して咲いていることが多く、大雪山旭岳の裾野や秋田駒ヶ岳のムーミン谷の群生が有名。
花期は7月から8月だが、花が終わったあとの羽毛状の姿も愛らしくてかわいい。花よりも羽毛状の姿の方が、特徴があり覚えやすい。
■7. ミヤマクロユリ、花言葉は「呪い」「復讐」
「ミヤマクロユリ」を初めて見た人はよく言う「こんなに小さい花なの?」と。
ユリと聞いて大きな花を想像する人が多いが、花は2〜3cm、草丈は10〜30cmほどの大きさ。
クロユリといっても、実際の花の色は黒に近い暗褐色。しかし、色とりどりの高山植物の花の中では黒色に見える。
7月から8月、高山帯に群生する。
「愛」「恋」の花言葉の他に、戦国時代の逸話から「呪い」や「復讐」の意味も持つ、少し怖い花だ。
■8. ニッコウキスゲ、草原の中で一際目立つ、黄色い花
「ニッコウキスゲ」は朝に咲き、夕方にはしぼむ「いちにち花」。
低山から高山の草地や湿った場所に咲いていることが多く、群生した黄色い花は草原の中でも一際目立つ。
草丈は60〜80cmで、7月から8月にかけて直径5cmほどの大きさの黄色い花を咲かせる。ユリ科の植物のため、花の形がユリとよく似ている。
山域によっては「ゼンテイカ」とも呼ばれる。
■9. コマクサ、花の形が馬に似ている
「コマクサ」は、花の形が馬の顔に似ていることから「駒草」と名付けられている。花びらは4枚で、外側の2枚が反り返っている。
7月から8月にかけて、高山の砂礫地(されきち)に咲く。他の植物が生えないような荒涼とした場所に群生していることが多いため、見つけやすい。
草丈は5〜15cmほどで、通常花の色はピンク。もしも白いコマクサを見つけたならば運がよい。白色はめったに見かけることがないので。
馬の顔をしているが、「高山植物の女王」とも呼ばれている高貴な花だ。
■10. ミヤマオダマキ、2色の花びらを重ね着しているような姿
「ミヤマオダマキ」も、一度見たら忘れられない姿をしている。青と白のレイヤーを重ねたような花の姿が特徴的だ。
7月から8月、高山帯で咲く。
草丈は10〜25cmほどで、花の直径は3〜4cm。実は、花のように見える外側の青紫色はガク片で、花びらはその内側にある。花びらの先が白くなっていることから、外から見ると青と白の花びらを重ね着しているように見える。
■11. クルマユリ、花びらが反り返っているオレンジ色のユリ
「クルマユリ」はオレンジ色の花が反り返った形をしているため、草原の中でよく目立つ。
7月から8月、高山の草原に咲く。
草丈は30〜100cm、花の大きさは5〜6cmほどで花はやや下向きに咲いている。オレンジ色の花には濃い斑点がある。
葉が輪生して、車輪のように見えることからその名が付けられている。
■高山植物を大切に守ろう
ここで紹介したのは、山でよく見かける貴重な花ばかり。高山植物を守るためには、これらの植物を持ち帰らないことはもちろんゴミは必ず持ち帰る、登山道から外れて歩かないなど、登山者一人ひとりの意識が大切である。