7月18日、気象庁は関東甲信地方・東海地方の梅雨明けを発表しました。ときおり雲が覆うものの、久々に気持ちのいい青空が広がった長野県白馬村。いよいよ本格的な夏山シーズン、観光の季節の幕開けとなりました。

 「白馬八方尾根スキー」のゴンドラとリフトを乗り継ぎ、さらに1時間ほどの爽快な尾根歩き。高山植物の花々を楽しみながら「八方池」へ行ってきました。

■ゴンドラ、リフトを乗り継いで空中散歩! 標高1,830mへ

夏のスキー場、緑の草原を抜けるリフトは開放感と高度感にあふれています

 長野県北部(大北地域)に位置し、冬は一大スキーリゾートとして賑わう“Hakuba Valley”の中心的エリアである白馬村。夏営業を行うスキー場も多い。その一つ、白馬八方尾根スキーのゴンドラとリフト(2本)を乗り継いで、標高2,060mの八方池を目指しました。

 スキー場の索道を利用して、八方池へ向かうルートは2つ。「八方アルペンライン」と「黒菱ライン」です。今回は八方アルペンラインを選びました。麓から標高差1,060mを乗り物で稼ぐことができます。

 ゴンドラ乗り場では蒸し暑さを感じていましたが、日差しこそ厳しいものの、標高が上がるにつれ爽やかな風が心地よく、山に来たということを実感します。搬器からの眺めは高度感ある空中散歩を味あわせてくれ、途中で牛たちが草をはんでいる様子も窺えました。

 「アルペンクワッドリフト」と「グラートクワッドリフト」の間には「鎌池湿原」があり、ニッコウキスゲの黄色が緑と青の世界に鮮やかなコントラストを見せています。リフトに乗ると、高山植物の花々が咲く緑の斜面が足元を流れていきます。夏のゲレンデならではの生命感あふれる景色を楽しむことができました。

■圧巻の山岳景観と高山の花々との出会い

歩きやすい木道。ただし、濡れている時は滑りやすいので気をつけて。奥にはわずかに残った雪渓が写っています

 「八方池山荘」から先がトレッキングルート、「八方尾根自然研究路」になります。すぐに2つのルートにわかれます。尾根上をダイレクトに登るルートと斜面を緩やかに蛇行しながら標高を上げていく、木道メインのルート。途中で交錯するので、随時状況を見て選んでもいいでしょう。

 標高2,696mの唐松岳へと続く八方尾根は展望に優れ、左手には鹿島槍ヶ岳や五竜岳、右手には白馬三山を中心とした山並みを眺めながら歩くことができます。やがて正面に「不帰(かえらず)」の岩峰群がそそり立ち、展望に迫力を添えてくれます。振り返ると麓に広がる白馬の景色がのどかで、こころ和みます。

ミヤマクワガタ。その名から昆虫を連想する人も多いかもしれませんが、兜の「くわがた」に似ていることから名付けられたそう
ワレモコウ。ナツアカネが止まっていました。その風情にどこか秋を感じてしまいます

 花を楽しむなら「木道コース」が種類も充実しています。“蛇紋岩”で構成される一帯は、高い木が育ちにくい代わりに多くの高山植物たちを見ることができます。時期によって次々と開花していく花々。訪れる度に新たな出会いがあります。植物名がわかる名札も数多くありますので、少しずつ名前を覚えていく楽しみもありますね。

山々の映り込みが神秘的な八方池。完全に一周はできませんが、水辺に沿って歩いたり休憩できるようになっています

 途中、大きなケルンがランドマークとなって迎えてくれます。それぞれ広くなっているので、休憩の目安にしてもいいでしょう。第3ケルンの手前で、八方池が静かに水を湛えているのを眼下にすることができました。ガス(霧)が濃い時は気づかずに通り過ぎてしまうこともあるので、そんな時は要注意です! 池の畔まで降り、目線を下げると白馬三山が水面に揺らめいていました。鏡面のようにとはいきませんでしたが、湧き上がるガスが抜け、風が弱まるタイミングを待ってシャッターを切りました。