■南アルプスの名峰を一筆書き! 夏ならではの壮大な山行計画
「難儀なアクセスだが、南アルプス南部の名峰を一筆書きで歩きたい!」と、7日間の入山に加えて、前泊に「南アルプス井川オートキャンプ場」、後泊に焼津のホテルを予約する夏休み8日間を使う、贅沢なプランを決行した。
メンバーはパートナーと2人、1泊目は南アルプス井川キャンプ場で、2日目は沼平から入山し茶臼小屋泊、3日目は茶臼岳を往復のうえ聖平小屋で1泊、4日目は聖岳と兎岳通過し百閒洞山の家泊、5日目は赤石岳通過し荒川小屋泊。そして荒川三山を歩き6日目に千枚小屋泊のうえ椹島へ下山しバスで沼平へ。車に乗り焼津のホテルで最後の7泊目。全行程8日間のロングルートだ。
丁度お盆休みを利用したので梅雨は明けているものの、天気予報は前半に雨予報。台風の可能性はなかったため、聖平と赤石岳から下山できるよう2つのエスケープルートを確保した。
■長さ181m! 長い吊り橋を渡り南アルプスへ
南アルプス井川オートキャンプ場を朝6時に出発し、車で30分ほどの沼平に車を停め、徒歩1時間で
「デスブリッジ」と呼ばれる『ゆるキャン△』の聖地のひとつ「畑薙大吊橋(はたなぎおおつりばし)」へ。
ここは南アルプスの山々への道の出発点で、長さは181mもある。橋を渡り、南アルプス南部を縦走すると思うと、なんとも楽しみな気持ちがこみ上げてきた。
橋を渡り、しばらくしてヤレヤレ峠を登り降り、累積標高差約1,400mの急坂に6時間も苦しむが、終わりの合図「樺段(かんばだん)」と書かれた看板に出合いほっとする。1時間ほど歩くと、宿泊する茶臼小屋が見えた。
茶臼小屋前の水場に昨日からクマが出ていると、小屋の方から聞いた。クマの出没は珍しいことではないらしいが、注意してくださいとのこと。筆者は小屋から外出せずに過ごし、翌日茶臼岳から聖平小屋へ向かった。
■聖平大雨で2日停滞! この先どうする?
南アルプス南部は太平洋からの湿った空気が入りやすく雨が多いため、長期縦走は雨を覚悟していたが、雨の予報だった行程前半、予想以上の嵐に見舞われた。
騒々しい雨音と雷で目を覚まし、テント泊の方々は皆聖平小屋に逃げ込むほど。即座に停滞を決めた。
嵐は翌日午前中まで続き午後には止んだが、結局2日間停滞したため、行程を縮小することに。エスケープルートはこのまま下山するルート、もしくは赤石岳まで歩き下山するルートの2つであったが、翌朝の天候を見て決めることにした。