日常からかけ離れた景観のもと、美しいトラウトたちと出会えることが魅力の渓流ルアーフィッシング。

 自然相手のアクティビティでありながら、遊漁規則や釣り人同士の暗黙のルールで環境を守りながらお互いが楽しめるように、押さえておきたいポイントがあることをご存じだろうか。

 今回は、これから釣りを始める初心者に覚えておいてもらいたい3つをピックアップし解説する。

■遊漁券を購入する

1日のみの釣行であれば日釣り券を購入する(撮影:志太 浩太郎

 釣りを知らない人にとっては不思議に思うかもしれないが、魚が釣れても釣れなくても、河川(特に渓流)や湖沼で釣りをするには「遊漁券」の購入が必要な場所がある。

 昨今の河川の釣りでは放流事業が大変重要で、釣れる魚の大半が放流によるものという河川も珍しくはない。

 加えて河川整備なども管轄する漁協が行っている場合があり、遊漁券の収益は釣りの持続性に大きな役割を担っている。遊漁券の購入が定められている河川などで釣りをする場合には、遊漁券は必ず購入し携行して釣りをしよう。

■暗黙のルール

 渓流釣りには暗黙のルールがあり、その代表は、“下流から上流に向かって釣り上がる”という点と、“先に釣りをしている人を追い越さない”点だ。

●下流から上流に向かって釣り上がる

橋などからポイントの下見ができるのであればしておこう(撮影:志太 浩太郎

 “下流から釣り上がる”とは、川での釣りは下流から上流に向かって釣り進むことを指し、釣り人同士のマナーとされている。渓流の流れの中で魚は流れに対し頭を向けていることが多く、つまり上流側に立てば魚に釣り人の存在を知らせながら釣りをする形になるため、魚に警戒心を与えないように、渓流の釣りでは一般的には下流側から釣り上がることが多いからである。

 これは実際に釣果に影響するので、規則ではないがマナーとして心得ておいたほうがよいだろう。

●先行者を追い越さない

 同じ魚が何度もルアーに食いつくということはほぼないため、どんどん次のポイントへ移動していくというのが、渓流釣りの基本的なスタイルだ。

 先に“下流から釣りを始めている”釣り人がいた場合、後から入ってそのすぐ上流側から釣りをするということは、その釣り人の釣果に影響を与えることになる。

 筆者は一旦釣り上がった渓流から枝分かれした分流を釣り下ったところ、他の釣り人にバッタリ遭遇したということがあった。

 温厚な方だったこともあり事なきを得たが、トラブルになるケースもある。先行者の存在が確認できるのであれば、大きくポイントを変えるのが無難といえる。