■大文字山を目の前に眺める「吉田山」

吉田山緑地を散策(撮影:山本佐和​​)

 おそらくほとんどの人が大元宮を参拝して引き返すと思うが、その先にも隠れたパワースポットがある。大元宮の奥へと山を登っていこう。

 神社が鎮座する「吉田山(標高102m)」は緑地保全地区に指定され、山歩きを楽しめるようになっている。カブトムシやクワガタなども多く生息しているので、夏休みに子ども連れで楽しむのもおすすめだ。

山頂から見える大文字山(撮影:山本佐和​​)

 緩やかな山道を20分ほど登っていくと、山頂に到着である。 標高105mという低さなので、眺望は緑に隠れてほとんど見えない…… と思ったら、なんと目の前に大文字山(だいもんじやま)の「大」の字が!

 送り火やハイキングで有名な大文字山だが、こんな目線で眺めることはなかなかないので、とても新鮮な気持ちになれた。吉田神社を訪れた際は、ぜひこの吉田山の山頂を目指してほしい。

■太古の自然を感じる「糺の森」 

糺の森に流れる小川で遊ぶ子どもたち(撮影:山本佐和​​)

 出町柳駅に戻り、鴨川を西に渡ると下鴨神社(しもがもじんじゃ)へと続く参道に「糺の森(ただすのもり)」が広がっている。知る人ぞ知る京都のパワースポットである。

 その広さはなんと3万6千坪。縄文時代(紀元前3世紀頃)の太古の自然がいまでも残っている貴重な森で、下鴨神社を含めユネスコの世界文化遺産に登録されている。

 すぐそばを流れる川のせせらぎが耳に心地よい。暑さの厳しい季節でも、この森に入るとひんやりと涼しい。地元の子どもたちの遊び場所としても親しまれているようだ。

緑に囲まれているので夏でも涼しい(撮影:山本佐和​​)
史跡の発掘を紐解くパネル(撮影:山本佐和​​)

 豊かな自然に癒されるのはもちろんだが、この森の魅力は古くから遺る史跡が点在していることだ。

 歴史的な見所がたっぷりと詰まっているので、ただ歩くだけではもったいない。のんびりと夏の涼を感じながら、森に眠る太古の京都に思いを馳せるのが醍醐味である。