■蝶ヶ岳〜蝶槍で絶景を堪能

蝶ヶ岳ヒュッテのテント場に張った筆者のソロテント(撮影:酒井 天里)
蝶ヶ岳ヒュッテのテント場には雷鳥がいた(撮影:酒井 天里)

 蝶沢から1時間程で蝶ヶ岳ヒュッテに到着。山頂までは5分だが、夕方まで曇り予報だったため、テント場の利用料2,000円を支払ってテントを設営後、晴れるまでの間は昼寝をして過ごすことに。

 途中テントの外から歓声が聞こえたので出てみると、テントのすぐ側に雷鳥がいた。どうやら巣が近くにあるらしい。

蝶槍から見る西日に照らされた常念岳(撮影:酒井 天里)
槍・穂高連峰に沈む夕日(撮影:酒井 天里)
槍・穂高連峰と満天の星空(撮影:酒井 天里)

 そして、予報通り夕方に近づくにつれ雲が晴れ、真っ白だった視界が開けてきた。山にいると、度々真っ白な視界が開ける場面に遭遇するが、何度経験してもたまらない瞬間だ。

 その後は、蝶ヶ岳ヒュッテから常念岳方面に稜線を1時間程進んだ場所にある小ピークの「蝶槍(ちょうやり)」まで歩き、夕景を眺めた。西日に照らされる常念岳(じょうねんだけ・標高2,857m)と槍・穂高連峰に沈む夕日の美しさは目に焼きついて離れないほどだった。

 テント場に戻って、少しすると陽が完全に落ちて真っ暗に。見上げると雲一つない満天の星空が広がっていた。槍・穂高連峰と星空のコラボレーションも見られて感無量だ。

槍・穂高連峰のモルゲンロート(撮影:酒井 天里)

 翌朝、朝日が槍・穂高連峰を照らすモルゲンロートを見ることができた。モルゲンロートとはドイツ語のモルゲン(朝)とロート(赤)を組み合わせた言葉で、夜が明け切らない早朝に日の光が山脈を照らすことをいう。最初は燃え上がるように赤く、徐々に淡い色へと変化していく様はずっと見ていられた。

■山に泊まって、心ゆくまで絶景を堪能しよう!

蝶ヶ岳山頂は蝶ヶ岳ヒュッテから5分ほど登った場所にある(撮影:酒井 天里)

 3,000m近い高山では夜から早朝にかけて夏でも気温が一桁まで下がることがあるため、ダウンジャケットなどの防寒着は必須だ。

 また、テント泊では強風時に設営撤収が難しくなるだけでなく、テントが吹き飛ばされるリスクがあるため、テント場に着いたら風向きや小屋の方の情報を確認することが必要だ。

 しかし、テント泊や山小屋泊であれば、山の中で一日過ごせるため、時間に制限がある日帰り登山では見ることができない絶景を見ることができる。ぜひ今年の夏は対策をしっかりしたうえで、山の絶景を心ゆくまで堪能してみてはいかがだろうか。

 

【行程とタイムスケジュール】
三股登山口(08:00)→ゴジラの木(08:30)→蝶沢(11:30)→蝶ヶ岳ヒュッテ(12:30-17:00)→蝶槍(18:00)→蝶ヶ岳ヒュッテ(19:00-翌日08:00)→蝶沢(09:00)→ゴジラの木(11:00)→三股登山口(11:30)

●【MAP】三俣登山口(三股登山補導所)