■宿坊体験の魅力を紹介!

高野山 準別格本山 宿坊 恵光院

 今回、高野山の滞在中にお世話になったのは、「高野山 準別格本山 宿坊 恵光院」だ。奥之院参道の入り口・一の橋から近く、奥之院への参拝がしやすいうえ、「奥之院ナイトツアー」のスタート地点でもあり、参加者にはとても便利である。

●宿坊はまるで旅館のよう!?

庭園を臨む和室は、旅館のような高級感

 まず、部屋は100平米の豪華なスイートルームから6畳のコンパクトな和室まで、さまざまな種類が揃う。部屋タイプによってはバス・トイレ共同となるが、アメニティもあり、無料のWi-Fi完備で設備もまるで旅館やホテルのようだ。部屋の掃除もきちんと行き届いている。

 庭園を臨む部屋では、木々が風に揺れる音を聞きながらゆっくりと寛げる。

●豪華・精進料理をいただく

彩りが美しく豪華な精進料理の夕食(一例)(画像提供:高野山 準別格本山 宿坊 恵光院)

 次に、宿泊の楽しみのひとつといえば食事だ。精進料理と聞くと、質素な食事を想像する人も多いかもしれないが、高野山の宿坊で提供される精進料理はひと味違う。

 2段のお膳には、野菜・海藻・豆類・山菜などをたっぷり使った、彩り鮮やかでヘルシーな料理がいくつも並ぶ。肉や魚を一切使っていないとは思えないボリュームで、胃袋も大満足だ。

 夕食が17時30分からと早いうえに植物性食材の料理なので、夜中にお腹が空いて目が覚めるのではと心配したが、そのようなことはまったくなかった。

●貴重な真言密教の体験をしよう

護摩祈祷の体験(画像提供:高野山 準別格本山 宿坊 恵光院)

 宿坊体験では、基本的に無料で真言密教のさまざまな修行体験に参加することが可能だ。

 毎朝7時に本堂で行われる「勤行(ごんぎょう)」は、仏さまを称え供養するためのお勤めで、仏前の読経で祈り心を鎮める。

 勤行終了後、毘沙門堂(びしゃもんどう)で「護摩祈祷(ごまきとう)」がある。炉に護摩木をくべて火を焚き、供物を焼いて香りを天に届け、仏さまに祈願する。燃え上がる炎の前での祈祷は、とても厳かで神秘的だった。 

 続いて、16時30分から道場で行われるのが、真言宗の瞑想法である「阿字観(あじかん)」だ。目を閉じて独特の呼吸法で意識を集中すると、煩悩に惑わされつつも自分と向き合えた気がする。

写経の体験(画像提供:高野山 準別格本山 宿坊 恵光院)

 そのほか、部屋では好きな時間に写経体験ができる。スマートフォンやパソコンの普及で文字を書くことが減っているなか、般若心経を一字一句書き写していると思わず夢中になる。心を込めて文字を書くことで穏やかな気持ちになれた。

 1日を通して、ほかでは得られないような貴重な体験ができるのが、修行体験の魅力であると感じた。

●高野山 準別格本山 宿坊 恵光院

住所 〒648-0211 和歌山県伊都郡高野町高野山497
電話 0736-56-2514

・ホームページURL https://www.ekoin.jp/ 

■忙しい日常から離れて、高野山の世界観を堪能しよう

 高野山は、1〜2日あれば主要な見どころを網羅でき、京都の観光と比べると移動距離も短い。また山上にあるため、夏場は平地よりも涼しく、体への負担も少なめだ。

 見どころをめぐった後は、宿坊で阿字観や写経などを体験し、忙しい日常から離れてゆっくりと自分を見つめ直すことができる。世界遺産登録20周年を迎える魅力いっぱいの高野山にぜひ訪れてほしい。

 

※この記事の情報は2024年7月現在のものです。内容が変更される場合もありますので、最新の情報はリンク先のHPでご確認ください。