神奈川県三浦市三崎町にある「小網代の森(こあじろのもり)」をご存知でしょうか。

 三浦半島にある小網代の森は、約70ヘクタール(東京ドーム15個分)ほどの大きさで、川の源流から湿地、河口干潟までが人工物で遮られることなく連続して残っており、この自然環境は関東唯一となります。

 ふだんは森の陸地で暮らし、産卵時には海に入る“アカテガニ”をはじめ、絶滅危惧種を含む2,000種以上もの生物が生息しています。このような貴重な森のため、小網代の森は「近郊緑地特別保全地区」に指定され、三浦市やNPO法人をはじめ地域住民やボランティアによる保全活動が行われています。自然再生活動や園路整備のおかげで、小網代の森は2014年に一般開放されました。

 小網代の森の中には、山あいの谷に川の源流があり、その小川に沿うような形で木道や散策路が整備されています。約1.3km歩くと小網代湾へとつながる干潟にたどり着くことができます。歩きながら、徐々に植生や生き物が変化していくのを感じられると思います。

 小網代の森は、入場のための予約や料金は必要ありません。開場時間内であれば、誰でも散策することが可能です。

※貴重な自然が残る森です。必ずルールを守って散策しましょう。

■小網代の森へのアクセス

 小網代の森へのアクセスは、京急線の終点 三崎口駅から「油壺」もしくは「三崎東岡」「三崎港」行きの京急バスに乗り、「引橋」という停留所で降りるのがオススメです。

 引橋側から木道を歩きはじめ、小網代湾へ抜けるルートが一般的ですが(森から海)、筆者は小網代湾側から引橋の方へ上がるルート(海から森)を歩きました。順番が逆ですが、歩いている場所は同じになります。

小網代の森 全体マップ

 油壺湾方面から行かれる方は、白髭神社を目指すと行きやすいです。県道216号油壺線を左折し、小網代湾沿いに建つ「リビエラシーボニアマリーナ」を確認しつつ、坂を下って行きます。

正面の建物がシーボニアマリーナ

 そのまま進み、小網代湾沿いの道をさらに進むと「白髭神社」にたどり着きます。こじんまりとしていますが、パワースポットのような雰囲気がありますので、ぜひ参拝してみてください。

海辺の森のなかにある白髭神社
パワースポットのような雰囲気のある「白髭神社」

■小網代湾へ続く干潟と「えのきテラス」周辺

小網代湾へ続く干潟が見えてきた

 まずは小網代湾の干潟近くの「アカテガニ広場」へ行ってみました。訪問したタイミングは満ち潮で、浅く広がる透き通った海水が美しく、目を凝らすと小さな魚やヤドカリが確認できました。引き潮であれば、春から秋にかけてチコガニという1cm程度の小さなカニの雄の集団が、手を大きく上下させて雌にアピールする“求愛ダンス”が見れます。

撮影時は満ち潮で小網代湾へと繋がっている

 散策路へ引き返し、えのきテラスを通過。たくさんの方がテラスで休憩されていました。ボランティアの方にお話を伺うと、5月末から6月頭の週末限定で夜間開放されたホタル観賞時は非常に多くの方が訪れたそうです。ホタルが棲むということは、美しい水や自然環境がある証拠ですね。ぜひ来年はホタルを見に来てみたいと思います。

たくさんの人が休憩できる「えのきテラス」
干潟近くの湿地帯にはアシを中心とした植物が自生している