■東西高野街道の合流地点である河内長野

 汐ノ宮駅の次が、長野線の終点である河内長野駅だ。駅は南海高野線と共用だが、改札は別になっている。そして河内長野は、高野街道が1本にまとまる地でもある。

 高野山への参拝道は、京都の八幡市を起点とする東高野街道、堺市が起点の西高野街道、平野からの中高野街道、四天王寺起点の下高野街道の4ルートがある。下高野街道は大阪狭山市で、中高野街道は河内長野市内で西高野街道と合流。そして東西の高野街道が合流するのが、河内長野駅前にある商店街の入り口だ。

高野街道の合流を示す石碑

 4つのルートをたどってきた人の波が1か所に集まってから高野山を目指すわけだから、かつての河内長野は大勢の参拝客でにぎわっていた。街道沿いには宿場町も開かれ、いまも三日市町地区には江戸時代の様子を伝える古民家が残されている。

 宿場町としての活況は失われたものの、旧街道沿いには酒蔵通りというエリアがあり、古い建物が並んでいる。通りの名の由来は、街道沿いで1718年に創業された西條酒造からである。

西條酒造の酒蔵と酒蔵通り

 また、汐ノ宮同様、河内長野は温泉街でもあった。河内長野駅から徒歩約10分の石川沿いに長野温泉街があり、最盛期には7軒の温泉宿が営業。現在、営業している温泉旅館は1軒だけだが、いまも料理旅館や旅館だったであろう建物などで当時の様子を伺い知ることはできる。

旧温泉街へ通じる黄金橋

 路線沿いの多くは郊外型の新興住宅地であるものの、古墳の町から寺内町、元温泉街や街道の要衝と、同じ南河内でも異なる表情を見せてくれる長野沿線。独自の特徴を持つ町の風景と風情が、じっくりと楽しめる沿線であることは間違いない。