■豊かな水に育まれた特異な自然環境

 アヴィック山自然公園の湖をめぐる102/ 5Cのルートの最大の魅力は、多彩な動植物や昆虫、鉱石などに触れ合えることだろう。早朝に山小屋を出発してから折り返し地点のグラン湖までの約2時間半、何度も写真を撮るために立ち止まり、その度に素晴らしい景観に見惚れてはため息をついた。1,100種にも及ぶ蝶や高山植物はもちろん、湿地帯や渓流、滝などさまざまな大自然の風景の中でバラエティに富んだ有意義なトレッキングが楽しめる。

 標高が上がっていくにつれ、足元の岩が剥き出しになってきた。よく見ると、白や黒の岩に混じって、きれいな緑色の平たい石がある。先に進むに従ってその数は増えていき、奇妙な緑の石で一帯が覆われているエリアもあった。あとで調べてみたところ、「グリーンストーン」と呼ばれるこの緑の平べったい石は海洋変成岩というもので、遥か昔、海底にあった岩がさまざまな変化を遂げて出来たものであることがわかった。こんなに高い山に海底の岩がゴロゴロしているなんて、一体どれだけの時間と、どれほどの自然環境の変化を経てきたのだろう。想像するだけで、気が遠くなりそうだ。

バルブステル保護区の湖をめぐる登山道102/ 5C の標識
岩だらけの荒々しい風景が続く中、ひょっこり滝が現れた
緑の草木があるところには、必ずと言っていいほど色とりどりの蝶が戯れている
このエリアでたくさん採れる「グリーンストーン」は、教会や住宅などの建築材として使われている
アップダウンやカーヴが続く登山道だが、その先にどんな景色が待っているかワクワクする