■3つのピークを写真に収められる二ツ塚下塚山頂 

二ツ塚下塚山頂にある標識。天候に恵まれれば3つの山頂が連なった様子を眺められる

 登山口からしばらくは、カラマツの樹林帯を進む。この辺りのスコリアはそれほど深く積もっておらず軽快に進めるが、10分程進むと見えてくる幕岩(まくいわ)への分岐辺りから深さを増し歩きづらくなる。

 このような地形に有効的な、つま先を砂礫に蹴り込んで歩く「キックステップ」を使いながら悪戦苦闘しつつ、1時間ほど進むと二ツ塚に到着だ。

 山頂には、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の二柱を祀る社と小さな鳥居が建っている。山頂を示す標識もしっかりとしており、記念撮影するならこの場所がおすすめだ。富士山山頂、宝永山山頂、二ツ塚上塚山頂の3つのピークを眺めつつ、写真撮影を楽しもう。

二ツ塚までの砂礫の道。まるで広大な砂漠のような風景が楽しめる

■標高差125mの二ツ塚上塚にチャレンジ

二ツ塚下塚から二ツ塚上塚への登り返し。体力に自信がなければ、下山することをおすすめする

 二ツ塚下塚山頂を一通り楽しんだら、もう一段高い二ツ塚上塚へもチャレンジしてみよう。こちらの山頂への道は、今まで以上にスコリアが深く積もっており、かなり登りづらい。急勾配も加わり、一歩進む度に足元がズルズルと崩れてしまうので、今までの道程以上にキックステップを意識して進むとよいだろう。

 足元に気をつけて30分ほど登ると、石積みが2つ見えてくる。南側に当たる石積みに三角点が埋まっており、ここが二ツ塚上塚山頂となる。

 二ツ塚下塚との標高差は125mと登山活動でみると僅差に感じるが、ビルにすれば30階以上の高さ。景色も変わって見えるはずだ。下の山頂では水溜まりのように薄い山中湖だったが、ここまで登れば見慣れた茄子型の湖となって見える。これだけ登ったんだと達成感を味わいつつ、周囲の眺望を楽しんでほしい。

二ツ塚上塚山頂の南側の石積み。三角点と思しき人工石が積んである
二ツ塚上塚山頂から眺める山中湖。二ツ塚下塚から眺めるよりも湖の形がわかりやすい。奥に見えるギザギザの山並みは丹沢山地
二ツ塚上塚から眺める愛鷹山。右手には駿河湾の湾曲した海岸線が確認できる。奥に見える雲から突き出た山並みが伊豆の天城連山

■スコリアをクッションに下山してみよう

御殿場の街並みと箱根山を眺めながら、登ってきた道を下る

 二ツ塚上塚山頂で充実感を満喫したら、お楽しみの下山タイムだ。先ほどは非常に厄介だったスコリア丘も下る時には、クッションとなって膝回りの筋肉疲労を軽減してくれる。

 本来下り坂では、スピードが出過ぎないように反射的に膝周辺の筋肉を使ってブレーキをかけるが、このブレーキをスコリアが肩代わりしてくれるため、軽快に下ることができる。

 コツは、できるだけスコリアが盛ってある箇所に踵から足を下すこと。こうすることでクッション性が上がるだけでなく、ブレーキも掛かりやすくなり、より楽に下れるはずだ。

 欠点は砂や小石が靴の中に入ってくる点だが、ゲイターを履けば容易に回避できる。登山用ゲイターは、大雨の山行やスノーハイキングにも有効なアイテムなので、ぜひ揃えておこう。

 二ツ塚上塚を下ったら、あとは一本道を下るだけ。周囲に広がる砂漠のような風景、正面に見える御殿場の街並みや箱根の山々を楽しみながら、下山しよう。

 

【コースタイム】
所要時間(往復):約2時間40分
富士山御殿場新五合目〜(約10分)〜幕岩分岐点〜(約1時間10分)〜二ツ塚下塚山頂〜(約30分)〜二ツ塚上塚山頂〜(約50分)〜富士山御殿場新五合目

【アクセス】
JR御殿場駅富士山口バスターミナルより季節運行バスにて約30分
※運行期間(6月:春季ハイキングバス、7月〜9月の富士山開山時期:夏季ハイキングバス)

●【MAP】富士山御殿場新五合目

住所:〒412-0006 静岡県御殿場市中畑