■「それ、オレの魚じゃないの!?」 同行者が釣り上げた大イワナ
すっかり虫たちに夢中になっていると、めげずにルアーを投げ続けていた同行者が大騒ぎしています。そばに寄ると、なんと彼の足元には目を疑うほどの大きなイワナの姿が! 普段、魚のサイズを測ることは少ないのですが、これは測らずにはいられません。48cmありました。まさかこんなサイズの魚が泳いでいるとは……。その大きさもスゴいですが、精悍な顔つきと野生味溢れる魚体は、放流されてから厳しい環境を生き抜いた歴史を感じさせます。
素晴らしい釣果を讃えつつ、若干の嫉妬を感じます。なぜなら、釣行当日は筆者の誕生日でした。「それ、オレの魚じゃないの!?」
筆者も急にやる気になって釣りを再開しました。スイングさせたウェットフライが、下流方向でターンした瞬間にグン! ひったくるようなアタリとともにフッキングしました。感触的にサイズは小さいながらも鋭く強く走るのでヤマメかと思っていましたが、寄せてくるとイワナでした。先ほど同行者が釣り上げたイワナには遠く及びませんが、嬉しいバースデーフィッシュとなりました。
■「今宵はライズ祭りあるの?」 期待と不安のイブニング
一度川から離れ、昼食がてら軽井沢のカフェでハンバーガーを頬張ってランチタイム。その後は川辺でのんびりと昼寝です。5月らしい穏やかな気候で、寒くもなく、暑くもなく、すこぶる心地いいのですが、実は「今宵はライズ祭りあるのかな?」と気がかりでした。
期待と不安にドキドキしながら徐々に暮れゆく景色に見とれていたら、ポツポツとライズが始まりました。暗くなると共に徐々にライズの頻度も増えていき、さらに水面から大胆に魚体を露わにするヤマメも。昼間の様子からは信じられないようなお祭り騒ぎです。
薄暗い川面を割る魚たち。その光景を見ているだけで幸せな気持ちに包まれ、ロッドを振るのをやめて見入ってしまいます。暗すぎて実際に何を捕食しているのかわからないのが悩みの種。もちろん、日中の観察からある程度予想をしていましたが、少々ライズが始まるのが遅すぎたようです。夕闇の中に上がる水飛沫で合わせるのですが、フッキングしません。しかし、こうやって翻弄されるのも釣りの楽しみには違いありません。
いつしか辺りはすっかり暗くなり、川面は静まり返っていました。ライズ祭りの後半、流れから飛び出した大ヤマメの姿を脳裏に焼き付けて、近い再訪を心に誓いつつ家路につきました。