■「河童橋」は必須の立ち寄りスポット

梓川の清流に架かる「河童橋」は上高地のシンボル。上高地で最も活気あるエリアだ

 上高地は、北アルプスから流れ出る梓川に沿って広がる山岳リゾート。標高1,500mに位置し、連なる3,000m級の山々、清らかな川の流れ、透明度の高い池や湿原などが点在する山岳景勝地だ。

 最も有名なスポットは梓川に架かる「河童橋」だろう。上高地バスターミナルから歩いて3分ほどの距離にあるこの橋は、梓川に架かる木製の吊り橋。背景に穂高連峰が広がる絶好のビュースポットであり、川の下流を向くと焼岳の姿も見える。周囲には山小屋やレストラン、売店などが集まり、リゾートの中心となる場所だ。ここを拠点にさまざまな散策ルートに出かけよう。

上高地では野生のニホンザルとよく遭遇する。適切な距離を保って観察しよう
上高地のメインスポット「河童橋」

■上高地をより深く知れる「上高地ビジターセンター」

上高地全域がわかるイラストが飾られた「上高地ビジターセンター」のインフォメーション

 河童橋のたもとから梓川の左岸を少し進むと「上高地ビジターセンター」がある。この施設では上高地の自然に関する展示や映像を上映し、植物や、動物・鳥・昆虫などの生き物、地形や地質といった幅広い分野について情報発信している。展示にはかみ砕いた説明文が添えられているため理解を深めやすく、あれこれ見て回るのが楽しい。

 施設内のミュージアムショップには、花や野鳥の本、オリジナルのバンダナや手ぬぐい、野鳥のぬいぐるみなど、上高地にまつわるグッズが揃ううえにデザインもいい。また、建物の入り口には2代前の河童橋の欄干の一部が保存されており、これも見逃せない。

 自然観察のガイドウォーク(有料)も開催してるので、案内とともに上高地の自然を体験するのもおすすめだ。

岩石の展示コーナー。難しい説明とともに「簡単に言うと……」とかみ砕いた説明が添えられている
「上高地ビジターセンター」

■梓川の両岸の散策コースをめぐる

河童橋周辺の梓川右岸コースは山小屋やレストランなどが点在していて活気がある

 上高地の散策コースは梓川の左岸と右岸の両方にあり、どちらのコースも歩きやすく整備されている。河童橋から上流の横尾まで向かうルートはトレッキングシューズ推奨だが、下流の大正池に至るコースはスニーカーでもOKとされるエリア。本格的な登山ではなく、「上高地をちょっと散策したい」というなら河童橋から大正池を結ぶルートがおすすめだ。

 河童橋から梓川右岸・左岸どちらのコースを下っても田代橋で合流し、右岸は山小屋やレストランが点在し、途中で有名スポットのウェストン碑も通る。これに対して、左岸コースは焼岳を正面に眺めながらカラマツ林を下っていく景観美を楽しみながら歩けるルートだ。

カラマツ林の静かな道が延びる梓川左岸コース
上高地のウォーキングルート

■大正池の絶景も必見

大正池から眺める雄々しい焼岳。上流側を向くと穂高連峰が見える

 河童橋から田代橋までの所要時間は、左岸も右岸も歩いて30分ほどの距離。田代橋で折り返して河童橋に戻ってもいいが、もう少し足を延ばして大正池まで歩くと絶景と出合える。大正池は大正4(1915)年に焼岳の噴火によって梓川がせきとめられ一夜にしてできあがったもの。水没した原生林が立ち枯れの木々として今でも残っている。そして、水鏡のような水面に穂高連峰と焼岳が逆さに移る景観が神秘的だ。

 河童橋から大正池までの距離は約4km。片道約80分。往復3時間ほどなので朝から歩きだせばちょうどお昼どきに河童橋まで戻って来られる。上高地を散策しながら、景観、グルメ、ショッピングと自然あふれる山岳リゾートをたっぷり満喫していこう。

神秘的な大正池