北アルプス登山の玄関口にあたる上高地で、観光シーズンのはじまりを告げる「第54回 上高地開山祭」が開催された。例年4月27日に行なわれ、今年はゴールデンウイーク初日の土曜日が開催日とあって、会場にはたくさんの観光客が詰めかけ、早春の上高地を存分に満喫していた。
■アルプホルンの音色が北アルプスに響く
会場は梓川に架かる河童橋のたもと。開始時間は10時50分だが、上高地バスターミナルから人の波が続き、開始前からすでに橋のたもとは多くの観光客や報道陣で埋め尽くされていた。残雪の北アルプスを背景に「アルプホルン」の演奏が披露され、観光シーズンの幕開けを告げると、今シーズンの山の安全を祈願する神事が行なわれる。
神官が祝詞をあげると、それまで様子を見守っていた観光客も頭を垂れてともに山の安全を祈り、地元の自治体関係者や宿泊施設の経営者などの参列者が玉串を捧げた。
■振る舞い酒や獅子舞の奉納も
河童橋の中央で鏡開きが行われ、お神酒を川に注いで捧げる。会場では「第54回上高地開山祭記念品」として、枡やピンバッチのセットを販売。この枡を手に振る舞い酒を楽しむ観光客の姿も多い。その後、地元保存会による獅子舞が奉納され、笛や太鼓、鈴の音色が北アルプスの空に鳴り響いた。
■昨年の来場者数は過去10年で最多
標高約1,500mに位置する上高地は4月末でもまだ肌寒い。しかし今年は気温が高く、参列者の挨拶では「こんなに暖かい開山祭ははじめて」とのコメントも。また、松本市によると、2023年の冬季を除く上高地の来場者数は132万人余りと過去10年間で最多。コロナ禍が落ち着いて人の移動が活発化した本年はさらに来場者の増加が見込まれるという。
開山祭とともに本格的な観光シーズンがはじまり、上高地はこれからますます活気づいていくことだろう。