■初心者や初めての山はピストンがおすすめ
筆者がピストンと周回の魅力を紹介するために高尾山を訪れたのは、山頂までのルートが複数存在し、初心者でもピストンと周回のどちらかを選びやすく、楽しめるからだ。
高尾山の主流アクセスとなっている高尾山口駅をスタート&ゴール地点に設定すると、山頂までの登山コースは大きく分けて3つある。「1号路」、「6号路」、「稲荷山ルート」だ。
ピストンは山の雰囲気を知ることができ、シンプルで計画しやすいので初心者には特におすすめしたいルート設定だ。
また、地図やネットの情報だけでは把握できないことがあるので、筆者は初めて登る山ではピストンを選択することが多い。例えば、地図上で見た地点を実際に歩いてみると「当日の体調や装備によって」計画通りに歩けないこともある。「当日までの天候による足場の状態」「同行者のペースによるコースタイムへの影響」といったことも含め、実際に歩いてみないとわからないことが出てくる。
高尾山のようにルートが複数ある山なら、周回すれば景色を含めたさまざまな変化を楽しむことができる。例えば、ピストンでも季節ごとにルートを変えて夏は沢沿いの比較的涼しい「6号路」を歩き、冬は日差しの差し込みやすい南側の稲荷山を歩くのもおすすめである。
■登り慣れた山の「周回」ルートで登山に必要な力を養う
高尾山の地図を見ると、「1号路」から枝分かれしている「2号路」「3号路」「4号路」があり、山頂の周囲を周遊する「5号路」は稲荷山ルートと合流している。
「ピストン」に慣れたら、これらをつないだ「周回」に挑戦してみると楽しい。筆者のおすすめは「6号路」か「稲荷山ルート」を登り、「1号路」で下山する「周回」ルートだ。このルートはケーブルカーなどでエスケープしやすく、「1号路」にはお店があるので食事を楽しんで帰ることもできる。
少しずつルートをつなげて行動範囲を広げていくなかで、筆者は登山計画の大切さを実感した。
分岐点で何も考えずに初めてのルートを進み、道迷いとなった経験がきっかけだった。整備された登山道と道標がある山域でも人間は過信して失敗をするのだと身をもって知ったのだ。
その経験から事前に計画を立て、地図とコンパスでしっかりと現在地を確認する癖がついた。歩き慣れた山でも行き当たりばったりで行動せず、計画を練り、地図を確認する癖をつけて読図スキルも養っておくことをおすすめしたい。
地図と計画を確認しながら登山すると、自分の歩くペースや体力がよく分かるのでコースタイムが予測しやすく、登山中にしっかりと休憩や食事をとり、時間的にも余裕を持って下山できるようになった。
■ピストン・周回どちらも山の魅力は感じられる
初心者だからといってルート選びがピストンでなければダメということはない。大切なのは自分のスキルや体力に合ったルート選定をすることだ。
筆者のおすすめは、最初はピストンで山の雰囲気や状況を知り、その後にルートをつないだ周回である。
周回で自分が歩ける範囲を広げるのも登山の楽しみ方の一つなので、ピストンと周回どちらか一方しか経験がないという方は、ぜひお試しあれ。