■“まるでプライベート渓流”! 実釣レポート
1か月ほど前に訪れた時には季節外れの雪だったのですが、山はすでに芽吹きの季節を迎え、萌黄色の淡いトーンに包まれた景色が迎えてくれました。
漁協の受付がある「川の駅 上野」。営業開始前にはすでに10人以上の釣り人が並んでいましたが、予約してあるので焦ることもなく、受付を済ませて本谷へ移動しました。
朝8時の気温は14℃、本谷の入渓点の水温は11.2℃でした。曇天のせいでしょうか、肌寒く感じました。谷筋に咲くツツジの紫が水の流れに彩りを添え、どこか雅やかな春の風情を漂わせています。予約してある区間を目指して林道を歩きながら、見下ろす流れにはライズこそほとんどないものの、川床に浮かび上がる魚影が確認できます。
ドライフライに簡単に反応してくれそうだと思って釣りを開始しましたが、どうやら甘く見ていたようです。最初の一投こそ感心を示してくれましたが、以後魚たちはまったく反応すらしません。ティペット(ハリス)をより細く長くして、次のポイントに慎重にアプローチします。先ほどより反応は良くなりましたが、されど簡単にはフライを咥えてくれません。それでも細心の注意を払い、集中して釣りをするとポツポツと釣れてくれるようになりました。
ふと、足元のプールの駆け上がりに沈んでいる岩盤に目をやると、エゴ(窪み)から顔を出しているのは、目を疑うほどに大きなヤマメ。40cmくらいはありそうです。目線は水面に向いていないようなので、フライを流れに馴染ませ沈めてみると、チラ見はするけれど口を使ってくれません。その姿にすっかり夢中になって没頭すること2時間以上(もちろん何度もフライを流さないで間をおいています)経っていました。13時までは貸し切りですので、他の釣り人に気を遣う必要もありません。あっという間にお昼になっていました。
午後になり、一度林道に上がって入渓点に戻ってから、同じルートを辿りました(13時からはフリー区間となるので、好きな場所に入って釣り上がれます)。狙いはもちろん件のヤマメ。そっと覗いてみると彼(彼女)は同じ位置にいます。十分に熟考していた成果でしょうか、狙いすまして送り込んだフライを素直に追ってきてくれました。鼻先で焦らすようにステイ、次にスッとフライを浮上させると口を開けて反転! したのですが、水面を割ったのはフライだけでした……。
楽しみ方は釣り人の数だけあります。誰にも邪魔されずに“プライベート渓流”を満喫できる釣り場は、当然大人気です。予定が見えたら、ぜひお早めに予約をどうぞ。