■和歌の情景豊かに季節ごとに趣を変える「六義園」

江戸の情景を今も残す名勝地「六義園」

 根津神社と同じ文京区、谷根千の隣町、駒込にあるのが「六義園」。江戸時代、五代将軍・綱吉の側用人として仕えた柳沢吉保が下屋敷として与えられた土地を自ら設計、7年かけて造りあげた和歌の庭。

 和歌への造詣が深かった柳沢吉保が和歌の分類、六体に倣い「六義園(むくさのその)」と命名。現在では「六義園(りくぎえん)」と読む。その情景豊かな大名庭園は小石川後楽園とならび、江戸を代表する庭園として今もその姿を残している。

園内を染めるツツジが見ごろを迎える
江戸時代からツツジは春を感じる人気の花
多種多様なツツジが咲く六義園

■春はもみじではなく「ツツジ」が六義園を赤く染める 

藤代峠から足元一面に咲くツツジと園内を一望

  園内に足を踏み入れると、すぐ目に飛び込んでくるのが六義園のシンボルともいえる「しだれ桜」。すでに桜は散ってしまい、また秋はもみじなど紅葉も有名な六義園であるが、今の主役はツツジ。大名庭園を赤く染め、訪れる者の心を和ませている。

 大きな池を周遊するように園内を散策すると、緑豊かな情景が23区内とは思えないほど、静謐な時間が流れる。その新緑の中に色鮮やかな姿を見せてくれるのがツツジ。

 かつては「富士見山」と呼ばれた園内で最も高い築山の「藤代峠」では斜面いっぱいにツツジが咲き、山一面を染め上げたような美しさ。標高35mの頂上からは、ツツジが咲き乱れる園内を一望でき、その美しさが何か名句を詠めるのではと思わせる。

新緑と青空に鮮やかなツツジが映える
満開を迎えるツツジに囲まれ江戸の庭園を歩く
花より団子! 池を見渡す吹上茶屋でいただく抹茶と季節の生菓子でほっとひと息

 ●施設概要

六義園
〒113-0021
東京都文京区本駒込6-16-3
TEL 03-3941-2222
開園時間:9:00~17:00
入園料:一般300円 65歳以上150円(小学生以下および都内在住、在学の中学生は無料)

●MAP

 全国的にも春本番となり、多くの花々がその美しい姿を見せるこの季節。絶景や映えスポットもいいけれど、歴史情緒にふれながら、季節の移ろいを感じてみるっていうのもいいものですね。もちろん散策には欠かせないカフェやスイーツも一緒に楽しみたいですね。