日本百名山の一つ、熊本県にある阿蘇山。実は阿蘇山というのは通称で「阿蘇五岳(あそごがく)」と呼ばれる5つの山から成り立っているのをご存じだろうか。その中の「烏帽子岳(えぼしだけ)」と「杵島岳(きしまだけ)」は登山道が整備されており、初心者にも登りやすい山である。山頂からの展望がよいので、晴れた日にぜひ登頂したい山だ。
この記事では登山歴9年の筆者が、2022年6月に訪れた際の登山レポとともに、登山口までのアクセス及びおすすめコースを紹介する。
■日本百名山「阿蘇山」とは
「阿蘇山」は熊本県阿蘇地方にあり、カルデラと中央火口丘と呼ばれる小型火山で構成され、「阿蘇五岳」とも呼ばれている。阿蘇のカルデラは、東西18km、南北25kmにもわたる世界最大級の大きさを誇り、ユネスコによって「世界ジオパーク」にも認定されている。
標高1,592mの最高点がある「高岳」や噴煙をあげる「中岳」、そのほか「烏帽子岳」「杵島岳」「根子岳(ねこだけ)」の5つからなり、中でも烏帽子岳と杵島岳は登山初心者やハイキング客にも人気の山だ。荒々しい中岳や高岳とは対照的な稜線が美しいルートで、手軽に登れる百名山として有名だ。
■登山口は阿蘇の観光スポット「草千里ヶ浜」
登山口となる「草千里ヶ浜(くさせんりがはま)」は、標高約1,100mの場所にある火口跡の草地で、直径約1kmの皿形の窪地状である。杵島岳に登るとその丸い形がよくわかる。
草千里ヶ浜は阿蘇を代表する観光スポットで、200台収容の有料駐車場(普通車500円)には土産店が並び、乗馬も楽しめる。アクセスには車が便利だが、路線バスもある。車だと熊本市内から約1時間20分、路線バスの場合はJR阿蘇駅前から約30分だ。
烏帽子岳と杵島岳は、草千里ヶ浜を挟んで対面に位置し、駐車場から2座を見ることができる。どちらの山もこの草千里ヶ浜駐車場から登山スタートする。
■草千里ヶ浜をグルッと周回! 2時間コースの「烏帽子岳」
「烏帽子岳」は標高1,337mで草千里ヶ浜を懐に抱くように立っている。駐車場から見える山容は美しく、登山道はしっかりと整備されているため、初心者でも難しくない。
山頂からの展望がよいことから「国見山」とも呼ばれ、目の前に杵島岳、東方向に中岳が見える。雄大な自然を眺めながら稜線を歩くのは心地がよい。
おすすめは草千里ヶ浜の西回りルートから山頂を通って、東回りルートに下山する周回コース。ただし、山頂から東回りルートへ下山するルートは勾配がきついので、不安な方は登ってきた西回りルートで下ろう。
【所要時間とおすすめコース】
草千里ヶ浜駐車場→草千里登山口→西回りルート→烏帽子岳山頂(1:10)→東回りルート→草千里駐車場(0:50)
■35分で山頂! 360度の大パノラマ「杵島岳」に登る
烏帽子岳の対面にある「杵島岳」の標高は1,321m、山容は烏帽子岳と異なり丸い形をしている。草千里ヶ浜駐車場にある杵島岳登山口からスタートすれば、山頂までわずか35分ほどで登ることができる。登山道は石畳となっており、山頂までならスニーカーでも問題なさそうだ。
山頂に登ると、噴煙をあげる中岳が見え、迫力満点の景色が待っている。なお、山頂火口壁を一周するお鉢巡りは、所要時間は20分ほどだが、登山道が荒れているため、初心者にはおすすめできない。
登山口から往復1時間で手軽にハイキングができる杵島岳は、ファミリーハイキングにもおすすめである。
【所要時間とおすすめコース】
草千里ヶ浜駐車場→杵島岳登山口→杵島岳山頂(0:35)→杵島岳登山口→草千里駐車場(0:25)
■1日に2座登頂できる! 阿蘇山
烏帽子岳は1周約2時間、杵島岳は往復約1時間と、2座とも手軽に登れる山である。少し体力に自信がついてきた登山者であれば1日に2座、登ることも十分可能だ。筆者も涼しい午前中のうちに2座登頂した。
烏帽子岳山頂から見える草千里ヶ浜、杵島岳山頂から見える中岳、どちらの景色もおすすめなので、体力に余裕がある方は、ぜひ挑戦してみよう。
●【MAP】草千里ヶ浜
〒869-1505 熊本県阿蘇郡阿蘇市草千里ヶ浜