手間がかからず味付けも簡単、それが缶詰炊き込みご飯であります。

 もし、缶詰の味だけでは物足りなかったら塩味や香辛料を足せばいいし、ゴマ油やオリーブ油、バターなどを足すのも手軽で効果的。香りの高い油脂類は、缶詰によくあるムレたような匂い(レトルト臭)をマスキングする効果があるからだ。

 そうしたちょい足しは炊飯後にできるテクニックだけど、それよりも炊飯中に気を付けるだけで格段に炊き込みご飯がおいしくなるポイントがある。

 その答えは手順であります。これはどんな缶詰にも共通する、言わば「おいしい缶詰炊き込みご飯の法則」ですぞ。

■「具は炊き込まない」のがミソ

米を炊くときには缶汁と水だけを加える。具は加えない

 この法則のキモは、缶詰の具を米と一緒に“炊き込まない”ということ。浸水させた米は缶汁と適量の水だけを加えて炊き、肝心要の具はいわば後乗せするほうが絶対にいい。

 缶詰は加熱調理済みの食品なので、具にはすでに火が通っている。それを米と一緒に炊飯すると、100℃近い温度で10分近く加熱されることになり、食材がダメージを受けてしまう。すると食感が固くなり、さらに脂分や水分が抜けてうまみも逃げてしまう。

 例えて言うなら、何度も煮返した煮物のようになるわけだ。後乗せにすることで、それを避けたいのであります。