■勾配の緩やかなウバメガシ林の尾根道
念仏洞を過ぎると、小刻みなアップダウンを繰り返しながら入間漁港を目指す。基本的に樹林帯が続くが、ときおり開けたところからは大海原を望むことができる。ウバメガシ林は常緑樹で冬でも葉をつけており、緑の葉が生い茂っていることから視覚的に冬であることを忘れさせてくれる。
中木漁港から近い伊豆の最南端である石廊崎(いろうざき)は、気象庁のホームページによると最も気温が下がる1月でも平均最低気温は6.1℃、日中は10℃を超え、歩いていて暖かさを感じる。防寒着の携帯は必須ではあるが、行動中は薄着になれるようにしておくといい。
■静かな入間港から寄り道! 千畳敷へ
中木漁港から1時間30分ほど歩くと、入間漁港に到着する。入間漁港の集落は中木漁港よりもこぢんまりとしていて、静かな漁港だが、釣りを楽しんでいる人が多くみられる。
南伊豆歩道の「中木〜入間」区間はここでゴールとなるわけだが、もう一つ紹介したい絶景の場所がある。車では行くことができない「伊豆の秘境」とも言われる「千畳敷」だ。入間漁港から海岸線沿いを岬に向かって歩くこと45分ほどで到着できる。
千畳敷(せんじょうじき)は、伊豆がまだ海底火山だった時にできた火山灰の地層がみられる場所で、岩礁の海岸風景と一緒にジオの迫力を感じる景観を楽しむことができるおすすめの場所だ。
千畳敷からは入間漁港へと戻り、入間バス停から中木まで戻ることができるが、体力や時間に余裕のある人は歩いて中木の駐車場まで戻るのもいい。
潮風の匂いや、漁船のエンジン音など、普段の山歩きでは味わうことのできない新鮮な感覚が海沿いを歩く魅力である。夏には灼熱となる伊豆の地を快適に過ごせる冬に歩いてみてはどうだろうか。
〈ハイキングルート〉
中木漁港⇒(1時間30分)⇒入間漁港⇒(45分)⇒千畳敷⇒(40分)⇒入間漁港
〈アクセス〉
伊豆縦貫道・月ヶ瀬ICより国道414号、136号経由で1時間24分(56.2km)
●【MAP】中木漁港 静岡県賀茂郡南伊豆町中木