イヤな虫がいない、星空がきれいに見える、焚き火のありがたさが倍増する…… などの理由から根強い人気を誇る冬のキャンプ。しかし初心者がチャレンジするにあたって一番の気がかりは、やはり寒さ対策だろう。
ひとたび検索をかければ先輩キャンパーの事例が山のように出てくるが、火災や一酸化炭素中毒が心配なストーブ類、テントのサイズ選びに迷うカンガルースタイル、予約が集中する電源付きサイトなど、代表的な対策にもそれぞれ注意点があり、ハードルに感じてしまうことも確か。
ということで今回はポータブル電源とファンヒーターを持ち込み、テント内をどれぐらい暖められるか、検証したレポートをお届けする。
安全かつクリーンな方法で暖かくキャンプができれば、これほど嬉しいことはない。冬のキャンプで使えるかどうか、ぜひ参考にしていただきたい。
■大容量「2000Wh」のポータブル電源で検証開始!
使用したポータブル電源は「BougeRV(ボージアールブイ)」の『Rover 2000』。メーカーサイトによると容量は2008Whで重量は約21kg。テント内へスムーズに持ち運びできる重量やサイズを考えると、これぐらいが上限だろう。
暖房器具は自宅のセラミックヒーターを使用した。消費電力600Wの製品で足元などに当てる類のものだが、低温ヤケドや着火などの心配がない。
■1時間おきにテント内の気温とバッテリー残量を計測
計測のためキャンプを行ったのは昨年の12月中旬で、当日の天気予報では最高気温が18℃、最低気温が10℃と気温は少々高め。しかし日暮れとともに強い風が吹き荒れ、かなりの寒さを感じたため夕食後はテントにこもり、就寝までの時間を利用して検証を行った。ちなみにテントはソロ用のティピーテント、暖房効果に厳しめの条件となるよう断熱マットなどは敷かず、荷物は最小限に抑えて室内の容積を大きくした。
単純計算では消費電力600Wの製品だと、電力容量2000Whを約3時間半ほどで使い切ってしまうはずだが、1時間おきの計測結果は下記の通り。運転時の消費電力は350~500Wぐらいで、常時600W消費されるというわけではなさそうだ。外気温などの環境に左右されるだろうが、想定より電源が長持ちすることは嬉しい誤算だった。
●スタート時:消費電力400W前後/テント内20.1℃/バッテリー残量100%/運転可能時間表示5.6H
●1時間後:消費電力500W前後/テント内24.3℃/バッテリー残量86%/運転可能時間表示2.8H
●2時間後:消費電力500W前後/テント内24.2℃/バッテリー残量72%/運転可能時間表示2.3H
●3時間後:消費電力500W前後/テント内23.8℃/バッテリー残量58%/運転可能時間表示1.8H
暖房能力の限界か、3時間を過ぎても温度の上昇はみられなかったが、4~5℃の温度を上げられる結果が得られた。
就寝時は一層の対策が必要なものの、朝夕は防寒着のレイヤリングや、地面からの冷気を遮断するマット類と併用すれば、より効果を発揮して寒さを和らげることができるのではないかと感じた。また、こまめに電源を切ったり温度センサー付きの器具であれば、余分な電力を使わずもっと長時間の使用が可能だろう。見張る必要もないので、外で過ごす間はテントを閉め切って暖めておくこともできるし、子どもやペットの行動に注意を払う必要もない。
屋外とテント内に設置しておいた温度計を確認したところ、最高と最低温度は、屋外が17.5℃と8.7℃、テントが内25.2℃と9.1℃だった。
■アウトドアだけでなく、もしもの備えとしても
参考までに主な家電製品のおおよその消費電力をあげておく。消費電力の高い冷暖房器でなければ、より長時間の使用が可能だ。冬以外のアウトドアにはもちろんのこと、いざというときの防災対策や家庭内での使用も考えて、ポータブル電源が1台あると安心だろう。別売りのソーラーパネルで太陽光充電にも備えれば、さらに心強い。
冷蔵庫(ポータブル・20L)30~50W
テレビ(液晶14インチ)15W
照明器具(LED)10W
ヒーター(ファン・オイル)300~1500W
電気ストーブ500~1000W
電気カーペット(1畳~3畳)300~800W
扇風機50W
電気ポット700~900W
コーヒーメーカー1000W
ヘアドライヤー1600W
ノートパソコン20W
●「BougeRV」ポータブル電源 https://jp.bougerv.com/collections/power-station