暦の上では立冬を迎え、12月に入るといよいよ本格的な冬の到来となる。冬キャンプを楽しむには「寒さ対策」は欠かすことのできない最重要ポイントだろう。
筆者は1年を通じてキャンプをしているが、マイナス10℃の雪中キャンプであっても薪ストーブや石油ストーブ、電気毛布などの暖房器具を使用せずにキャンプを楽しんでいる。
今回は暖房なしでキャンプを楽しむ筆者の必携アイテム「ステンレスボトル」を紹介する。まずは使い方を紹介し、使用の際の注意事項も合わせてお伝えしたい。
■最大のメリットは「直火」にかけられること! 便利な使い方の紹介
筆者が使用するステンレスボトルはシングルウォールと呼ばれるタイプ。このボトルの最大のメリットは「直火」にかけられることだ。これにより、ケトル(やかん)の代用品として使用できる。
シングルウォールとは、一層構造の意味。ちなみにダブルウォールは二層構造だ。シングルウォールは保冷や保温機能が備わっていない分、直火にかけることができる。
冬のアウトドアはウエアを重ね着して保温することも重要だが、温かい食べ物・飲み物で身体の中から温めることも必要だ。お湯を常備しておくことでいつでも温かい飲み物を飲むことができる。お酒が好きな人はホットウィスキーや日本酒のお湯割りもいいだろう。ほかにもホットココアや、コーヒー、紅茶も身に染みる。
直火にかける時の注意点として、キャップは必ず外すこと。密閉したままの加熱は非常に危険なので、気をつけてほしい。
沸かしたお湯は寝る時にも活躍してくれる。キャップをしっかりと閉め、火傷をしないようにタオルや布などにくるんで寝袋に入れておけば「湯たんぽ」として使うことができる。焚き火の前で過ごしていても、手足は多少冷えるし、冷えたままでは眠りにつくまでに時間もかかるだろう。湯たんぽがあれば短い時間で手足を温められ、快適に眠ることができる。
湯たんぽとして使用する際には、お湯を満水まで入れないこと。目一杯入れてしまうと、熱で膨張した湯が溢れてくるので、湯量はボトルの7割を目安にし、しっかりとキャップを閉めてから寝袋に入れるようにしよう。
氷点下にまで冷える環境下では、凍結への対策も必要となってくる。ウォータータンクに入れていた水が一晩で凍結し、使えなくなってしまうこともある。
そんな時にもステンレスボトルが重宝する。湯たんぽとして寝袋の中に入れておけば凍ることはない。もし凍ってしまったとしても直火にかけられるので、加熱して解凍すれば飲料水を確保できる。つまりウォータータンクが凍結していても朝のコーヒーで体を温めることができるのだ。
冬キャンプで寒さ対策や凍結対策のためにステンレスボトルを使用する方法を紹介したが、もちろん基本的には「水筒」として筆者は愛用している。水筒の用途に加え、寒さ対策に役立つ多様な使い方があるため、バックパックひとつにまとめて行動する筆者にとってはドンズバな便利アイテムなのである。
唯一の難点は、焚火に入れてしまうと焦げつきや煤で真っ黒になってしまうことだ。金タワシなどを使って洗えばある程度落とすことはできるが、完全に綺麗にはならないし労力がかかる。簡単な方法としては「重曹」で煮込めば汚れを落とすことができるので、焦げつきや煤汚れが気になる人は試してみてほしい。
「直火にはかけたいけど汚れるのは嫌」と思っている人は、焚火を薪ではなく炭で行うことで煤汚れがかなり軽減されるのでぜひ試してほしい。
■使用の際に守らなければならない条件
一層構造のシングルウォールに対し、二層構造のダブルウォールボトルは外側と内側の間に空間があり、保冷・保温の機能があるので、冷たい飲み物や温かい飲み物を携帯するのに便利。だが、ダブルウォールのボトルを火にかけると破損してしまうので絶対に使用しないように。
加熱禁止のボトルを加熱してしまった場合、破損などの原因になってしまう。使用するボトルがシングルウォールであっても、必ずメーカーが「直火OK」としているかどうかの確認をしてから使用してほしい。
ペイントされていたり、内部にコーティングが施されていないボトルは直火にかけることができない。これらのボトルは熱に弱いので、破損の原因となってしまう。
また、水筒としての用途がメインであるため持ちやすく細長いデザインが多い。よって立てて置くには少々不安定だ。沸騰した湯を入れたボトルを倒したりして火傷などしないようくれぐれも注意してほしい。
直火や火傷に関する注意点に気をつければ、ステンレスボトルは冬キャンプで頼りになるアイテムである。薪ストーブや石油ストーブは便利だが、コストもかかってしまうし持ち運びが大変だ。工夫してコストをかけずに寒さ対策をして、キャンプを快適に過ごしてみるのも楽しみ方の一つではないだろうか。きっと自然をより近くに感じられるはずだ。