■晴れると360度の絶景が楽しい山頂

 日本海に近く強い風が痛いくらい冷たい。黙々とただひたすら登り、山頂のプレートと神社の祠が少し見えているのを確認。山頂へとうとう来た! と嬉しさが爆発する瞬間だ。その時、雲からちらちらと見える日光が段々と強くなり、急に視界がひらけた。

荒島岳山頂の祠から眺める白山方面(撮影:鶴岡 亜矢子)

 いつまでも景色を眺めていたいけれど、風が冷たすぎる。早々に下山だ。あんなに辛い思いをして登ったのに、下山は雪の上を滑るように下りていくのでものすごく速い。振り返ると青空をバックにした、今日一番の荒島岳の姿を見せてくれていた。

光の強いコントラスト! 迫力増す秀峰荒島岳(撮影:鶴岡 亜矢子)

 もちが壁を注意深く下りると樹林帯になり、再び森の中を下山していく。雪の下り坂を駆け降りるのは楽しく、あっという間に旧スキー場についてしまう。持参した「ヒップスライダー」でスキー場跡を滑り降りた。楽しかったが尾てい骨がものすごく痛い。風呂で確認したら青黒くなっていた。ネットで確認すると、おしりが痛くならないヒップスライダーがあったので紹介しておこう。

 最後に、関東など遠くから荒島岳に登る場合は、越前大野の宿泊施設に泊まるとよい。荒島岳の伏流水を使用した酒蔵を回るなど違った楽しみがあるのだ。筆者は下山後、大野市内の酒蔵を回って利き酒し、市内の郷土料理を味わい舌鼓。お散歩気分でそのまま大野市内のゲストハウスに宿泊した。現地の素晴らしさを丸ごと堪能した。

■極寒の荒島岳攻略のコツ

荒島岳山頂から眼下に見える大野市の町(撮影:鶴岡 亜矢子)

 豪雪地帯の山、荒島岳を見るために、持ち物等のコツを紹介する。

 天候が変わりやすいことと強風が吹き寒いことを考え、湯を沸かして保温効果の高い水筒に入れて持っていく。米のおにぎりは凍るため、パンか凍りにくいもち米で出来た赤飯やおこわがよい。その他チョコ、きなこ、ナッツなどの行動食を持っていこう。

 スマホ、カメラは寒さで電池の消耗が激しい。電池が切れて使えなくなることも考えて地図は必ず持っていこう。

 衣服はレイヤリングを基本とし、下着は汗で濡れにくいウール素材を使用する。靴下と手袋は必ず替えを持参しよう。

 また強風で凍傷になるのを防ぐために、顔や耳、鼻等は外に出さないようにゴーグル、目出し帽を利用しよう。

 雪山が好きならやみつきになること間違いなし。コツを掴んで楽しく登ろう。

 

筆者の荒島岳雪山装備
【衣服】メリノウールの肌着、タートルネックTシャツ、ウールセーター、ミッドシェル、タイツ、ウールソックス(替えを持参)雪山用アウター上下(筆者はパタゴニアのシェルジャケット愛用)、ダウンジャケット
【雪山装備】輪かんじき、アイゼン(前爪のある10本以上のもの)、ピッケル、登山用ゴーグル、目出し帽、帽子、手袋(インナー・防水性の暖かい手袋、替え)、ネックウォーマー、雪山用の登山靴(断熱効果があり、アイゼン装着できるもの)、ゲイター(雪山用スパッツ)

【食料など】1日温かいまま保温できる水筒に湯をいれたもの、行動食(ナッツ・パン、甘いもの)非常食(カロリーの摂れるもの)

【その他】保険証、身分証明(免許証)、マップ、携帯電話、タオル、ティッシュ、ビニール袋、コンパス、カメラ、エマージェンシーキット、モバイルバッテリー、ヘルメット、ツェルト、ヘッドランプ、エマージェンシーシート

【雪山コースタイム】※天候・積雪具合・個人差あり。
行き:旧勝原スキー場(2時間半)シャクナゲ平(40分)荒島岳山頂 合計3時間10分
帰り:荒島岳(20分)シャクナゲ平(1時間)旧カドハラスキー場 合計1時間20分

●【MAP】荒島岳 勝原登山口駐車場