■アウトドアスポットでもオーバーツーリズムが問題に

 コロナウイルスの流行が落ち着きを見せ、訪日外国人客が再び戻ってきた。観光地が賑わうのは喜ばしいことではあるのだが、近頃は観光地のキャパシティを超える「オーバーツーリズム」が問題になっている。

 そして、インバウンド需要の増加は観光スポットのみならず、アウトドアスポットでも見受けられると筆者も肌で感じている。

■外国人観光客の多いアウトドアスポット

 今年特に問題になったのは富士登山だろう。環境庁の調査によると、富士山八合目における2023年の開山日から9月10日までの登山者数は、約22万1千人にも登ったという。

 アフターコロナによる入国制限の緩和や円安の影響もあり、外国人登山客が爆発的に増加した。その結果、ゴミの不法投棄や迷惑行為が目立ち、軽装での登山や、閉山された後も入山してしまう外国人登山客の姿もあったと聞く。

富士山の御来光渋滞の様子(写真提供:富士山における適正利用推進協議会)

 また、日本のふわふわとした極上のパウダースノーは、JAPOW(JAPANとPOWDER SNOWをくっつけた造語)と呼ばれるほど外国人から高く評価されており、特に北海道・ニセコは雪質がよいこと、英語が通じやすいなどの理由で、コロナ前から外国人客が多い。

 ニセコ以外でも日本の雪景色は人気が高く、2023年2月頃には山形県の蔵王でも巨大なアイスモンスターを一目見ようと、外国人客が蔵王山麓駅のロープウェーに殺到し、2時間待ちの行列を作ったという。

特定の気象条件でしか見ることのできない樹氷

■しまなみ海道で感じた外国人客の増加

 2023年10月、筆者はしまなみ海道の一部、広島県の生口島(いくちじま)へ赴いた。しまなみ海道は世界のサイクリストの聖地とまで言われる熱いスポット。穏やかな海に島が点在する多島美が美しい瀬戸内海の景色は、外国人にとっても魅力的なようだ。

 この生口島内にもたくさんのサイクリストがいたが、車で島内を一周してみるとすれ違う日本人はほとんど島民ばかりで、サイクリングで訪れているアウトドア客の8〜9割は外国人が占めているようだった。

 海でのカヤックツアーにも、オーストラリアからの団体客が訪れていた。海が美しいオーストラリアに住む彼らは水遊びをする機会が多く、やはりウォーターアクティビティが好きなようだ。

瀬戸内海の多島美は、外国人客にとっても魅力的であるようだ

 しかし、アウトドアスポットとしての人気に反して、しまなみ海道の観光スポットには英語を話せる日本人スタッフは限られているようで、ギアの使用方法やルールに関しての説明に四苦八苦している姿も見受けられた。

 時間に余裕を持って行動する時間に厳しい日本人に比べ、そのあたりの認識が薄い外個人客の場合、集合時間に遅れて来ることも多いと聞く。

■インバウンド需要によって再確認できることもある

 今後、日本各地の観光スポットは、オーバーツーリズムにより起こる過度な混雑やマナー違反などの弊害とも向き合う必要があるだろう。

筆者が以前訪れた熊野古道の宿泊施設では、外国人客からのメッセージがたくさん書き添えられてあった

 しかし、インバウンドの影響で日本のよさを再確認できるメリットがあるのも確か。日本人が誇りにしているおもてなし精神や景色の素晴らしさは、今後も外国人客に評価され続けるだろう。日本でしか見ることのできないすばらしい景色を見つけ、訪れ、体感することもアウトドアの楽しみではないだろうか。