観光庁が2023年1月にZ世代(19~25歳)男女を対象に実施した「海外旅行に関する意識調査」にて、「行きたい海外旅行先」で2位に輝いたフランス。
数え切れないほどの観光名所、美しい街並みと芸術、無形文化遺産のフランス料理、流行の最先端が集結するショップなど、さまざまなものが楽しめる首都パリに行きたい、という方は多いだろう。
誰しもが憧れる都は、完璧な夢の国にも思えてくる。しかし、理想と現実のギャップが激しい場所でもあることをご存じだろうか。
日本の11倍にも及ぶスリ被害、集団で押し寄せてくる署名詐欺、押し売りや置き引き、美しい街の真ん中に放置されたゴミや犬のフンなど、あまりのギャップに、若い日本人女性の観光客が適応障害の一種でもある「パリ症候群(シンドローム)」に陥ったケースもあるほどだ。
実際、パリで2週間程のロングステイを経験した筆者も、文化の違いや理想とのギャップに驚きを隠せなかった。
今回は、そんなパリでの体験を元に、一度もスリや犯罪に巻き込まれなかった筆者の対策、パリで観光を楽しむうえでの注意点などを解説していく。
■パリで経験する、理想と現実のギャップ
憧れの「花の都」として名高いパリだが、実際に現地に行ってみると想像とは違った現実が待っている。
例えば、パリでは道いっぱいの路上駐車が当たり前で、車が映らない風景写真の撮影はほぼ不可能。「どこでシャッターを切っても絵になるパリ」は有名な観光地だけで、少し離れたところにいくとゴミや落書きがあるのが現実だ。
とくに驚いたのが犬のフンで、危うく踏みかけたことも。飼い犬のフンを拾わないと罰金があるらしいが、毎朝清掃車が道を掃除するため、意外と拾わない人が多い。
映画の影響で「おしゃれなパリジェンヌが颯爽と歩いている」イメージがあった街中は、普通の恰好をした観光客や現地の方がほとんど。「白人の国」というイメージのフランスだが、ユダヤ系、アラブ系、アフリカ系、インド系など移民も多く、貧富の差が原因で、貧困と治安の悪化が問題になっている。
実際のところ、日本人を狙った軽犯罪の実体験はあまりにも多く、人一倍の注意が必須だ。