世界には「日本人宿」と称される宿があることはご存じだろうか。日本人宿に明確な定義は無いが、旅行や観光で訪れる日本人をターゲットにしているゲストハウスや、日本人が経営しているゲストハウスは、一般的に「日本人宿」と称される。
さて、先日SNS上でベトナムとカンボジアにある、日本人宿のアカウント同士が、第三者から見るとけんかとも取れるやり取りを繰り広げ、話題となった。このやり取りをきっかけとしてX(旧Twitter)では“日本人宿”というワードがトレンドになり、そしてそれが「そもそも海外旅行中に日本人宿を使うのか」という議論にもなった。
そこで今回は50か国以上の国々へ訪れ、様々な日本人宿にも実際に宿泊してきた筆者が感じる、日本人宿に宿泊するメリットとデメリットを紹介する。
■日本人宿に宿泊するメリット
まず、あまり海外旅行に慣れていない人にとって一番のメリットは、やはり日本語で誰かに相談できたり情報収集できることだろう。慣れない海外旅行で不安があったり、トラブルに遭って誰かに相談したい時など、母国語で宿のスタッフや宿泊者に相談できることは、日本人宿に泊まるからこそできることと言える。
旅行慣れしている人にとっても、治安がよいとはいえない場所であれば、日本語で最新の治安情報を入手できる可能性がある点もメリットといえるだろう。
そして、なんといっても大きなメリットとして、宿自体が一つの「コミュニティ」になっていることがあげられる。海外で多数の日本人が1つの宿に集まると、そこには交流が生まれ、みんなで何かをしようというコミュニティができあがる。日本人と欧米系の人が同じ宿に集まっても、日本人同士で集まった時ほどの大きな交流は滅多に生まれないので、日本人宿ならではといえるだろう。
また日本人が経営している宿であれば、大抵の場合、宿のオーナーが交流会などのイベントを定期的に企画しているということも、宿自体が一つのコミュニティになっているからだと言える。場所が海外ゆえにそこに集まってくる日本人はそれなりに旅行が好きだったり興味のある人が多く、共通の話題も生まれやすい。自発的に交流が生まれ、そこで出会った何人かとともに現地の旅行会社でチャーターでのツアーを組み、楽しく、効率よく、かつ、お得に観光を楽しめることもある。
さらにもう1つ。日本人宿には日本のマンガが置いてあり自由に読むことができたり、美味しい日本食を食べたりできる宿が多い。海外旅行に慣れている人の短期間の旅行であればメリットとして感じにくいところではあるが、不慣れな人のちょっとした息抜きの場として日本人宿を利用するのもありだろう。