■日本人宿に宿泊するデメリット

 さてここまで大きく3つ日本人宿に宿泊するメリットを紹介してきたが、最後にデメリットにも触れておく。

 1つ目は宿の予約方法。特に日本人経営の宿でよく見受けられるのだが、旅行者が宿の予約に使うBooking.comやAgoda、Expediaなどのサイトには掲載されていないことが多い。その場合は各日本人宿のウェブサイトにアクセスし、そのサイト内の予約フォームや問い合わせフォームで必要情報を宿へ送り予約することになる。ウェブサイト上である程度の空室状況を公開してくれている宿も多いが、Booking.comやAgodaのように予約してその場で予約確定とはならず、宿のスタッフからの予約確定のメールを待つ必要がある点は気にする人も多いだろう。

 2つ目は価格面。同程度の立地、部屋の広さやきれいさなど他の宿と比べると少し高く感じてしまう宿が多い。その街に訪れる日本人という狭い市場をターゲットにしていると考えると致し方無いことだと想像はつくが、先に挙げたメリットに魅力を感じない人にとっては割高感のある宿になってしまう可能性が高い。

 そして最後は、1泊や2泊の滞在ではどうしてもコミュニティの輪に入りきることが難しいこと。これもコミュニティと考えると致し方無いことと言えるが、せっかくの一番のメリットが薄まってしまうのは残念な点だろう。この点に関しては既にそのコミュニティの輪に入っている(現在宿泊中の)知人や友人がいるのであれば、その人を通じてスムーズに輪に入っていくことも可能だろうが、そう都合のいいことはなかなか無いだろう。

■長く滞在するなら日本人宿もあり

 いかがだっただろうか。筆者としては、感じているこれらのメリットとデメリットから、最低3泊以上するのであれば(滞在期間が長ければ長いほど)、日本人宿も宿泊先の選択肢に入ってくる。実際に、日本人宿で出会い仲良くなった人と、海外の別の街や日本国内で再会したりすると、滞在中のことを思い出すきっかけになったり、またそこから新たなワクワクにつながることもある。

 日本人宿は旅行が好きな人でも好みの別れる部分ではあるが、同じ街に長く滞在する際は日本人宿も選択肢に入れ、旅の一つのエッセンスにしてみて欲しい。

別れ際は「また世界のどこかで!」。本当に出会えた時は感慨深いものがある(撮影:黒多矩明