無雪地域に住んでいるウィンタースポーツ好きの人なら、誰もが一度は考える雪国生活。滅多に雪が降らない千葉県に住んでいた筆者は「雪国って大変そう」と思いつつも、雪国生活に少し憧れを抱いていた。

 5年前、筆者は夫の仕事の都合で秋田県の沿岸地域に移住した。雪国の中では比較的積雪量の少ない地域ではあるが、いざ住んでみると思ってもみなかった大変なことや「想像と違う!」と思った出来事がたくさんある。しかし四季の変化がはっきりしていて、雪国ならではの景色が楽しめるのも魅力だと感じている。

 この記事では、筆者が感じている雪国生活のリアルを紹介する。

■雪国ならではの出費

 地方に移住すると、生活費が安くなるようなイメージがあるかもしれない。筆者もそう思っていたのだが、雪国に移住すると雪対策のための出費が意外と多い。

●暖房代

 雪国の出費で一番痛いのが暖房代である。雪国の冬は最高気温が0℃を下回る日もあり、暖房は必須だ。筆者の家の暖房は、プロパンガスの床暖房と石油ファンヒーターの併用。一番寒い1月の暖房代は5万円くらいになる。暖房代は家の性能や、使用する暖房器具などによって異なるため、じっくり調べて決めた方がいい。

 寒冷地の一部の企業や公務員には冬季(企業によるが11月~3月くらいの間)に寒冷地手当として数万円程度支給される場合もある。雪国移住を考えている方は、仕事を探す際に寒冷地手当の支給も考慮するとよいかもしれない。

●雪かき用品購入費用

子どもや女性でも雪を運べるスノーダンプ(運んだ雪を捨てるのは重労働)(撮影:鈴山まき​​)

 雪国のホームセンターでは、11月頃からスノースコップやスノープッシャー、スノーダンプなどの雪かき用品が店頭に並ぶ。スノースコップとスノープッシャーは2000円~5000円前後、スノーダンプは5000円~1万円前後で購入できる。

 真冬は毎日のように雪かきをするため、雪かき用品は消耗品で、2~3シーズンぐらいで買い替えが必要になるものもある。冬の終わりになると雪かき用品は売り切れてしまうため、予備も早めに購入しておく必要がある。

 また、これらの雪かき用品を収納する物置も必要になる。雪国のアパートには、小さな物置がある場合が多い。

●冬用の靴や服の購入費用

滑りにくくて暖かい、冬靴の用意が必須(撮影:鈴山まき​​)
子どもの冬服は子ども用品店で揃えられる(撮影:鈴山まき​​)

 寒冷地の冬はとにかく寒く、足下が滑りやすいため、冬用の服や靴が必要だ。大人のものは1回買えば何年か使えるが、子供服はすぐにサイズアウトしてしまう。そのため、雪用のものも買い替えが必要になるが、冬靴や雪用のウエアは高いので出費がかさむ。

 ちなみに雪国の子ども達(保育園・幼稚園~小学校低学年くらいまで)は、スキーウェアで通園・通学することが多い。筆者が雪国に移住して、最初の冬にびっくりした事の一つが子ども用品店に子ども用のスキーウェアやスノーブーツなどが揃っていること。スポーツ用品店に行かなくても揃えられて便利ではある。

■室内は半袖で過ごせない

 筆者は、雪国の家の中は暖房が充実しており半袖で過ごせると思っていた。実際、このような噂を聞いたことがある人も多いのではないだろうか。

 確かに、最近の雪国の家は高気密高断熱の家が主流で、冷暖房の効率はよい。しかし半袖で過ごせるくらい家の中を暖めるには、かなり暖房を使うので光熱費が高くなる。最近では燃料価格も上がっているため、筆者は暖房を最低限にし、厚着をして過ごしている。

■雪かきは後回しNG

雪かき用のスノースコップ(撮影:鈴山まき​​)

 「雪が降ったらすぐに雪かき」というのも、雪国に来て学んだ。以前、20cmくらいの積雪を放置したことがあった。その日は昼間に少し気温が上がって雪が柔らかくなり、夜に冷えてカチカチに凍った上にまた雪が降って、その後の雪かきがとても大変になった。カチカチになった雪は片付けるのが大変なうえ、滑りやすくて危険である。雪が降ったら放置せず、すぐに雪かきをした方が手間が少なく安全だ。