■単独(ソロ)とっても実は一人ではない

レーニン峰のシェルパたち。強風のC3でも楽しくお茶会。キルギスでもネパール語を使うことがあるとは……

●登山のシステム

 レーニン峰には複数のエージェントが入っており、登山者は事前にいずれかのエージェントと契約して登山をすることになる。山頂に至るまで各キャンプの場所はほぼ同じだが、それぞれの会社で陣地を持っており、開催時期やサービスの内容も若干異なっているようである。ノーマルルートは3,700mのベースキャンプ(BC)を出発し、3つの上部キャンプ(C1、2、3)を経由して、7,134mの山頂を目指す。登山者は料金プランに従って、ガイドやポーター、常設キャンプ、食事の有無を選択できる。BC、C1には倉庫があり、上部で使用しない装備をデポすることも可能である。

●ガイド、ポーター

 今回のエージェントでは、シェルパが10名ほど在籍していた。彼らはローテーションしながら各キャンプに滞在し、ガイドやポーター、時には氷河工作員として活躍している。勿論カザフスタンのガイドも数名在籍しており、クライアントを連れてシーズン中に何度も山頂を踏む。ガイドやポーターの料金はキャンプ間で設定されており、上部に行けばそれなりの金額になってくる。

●リスクマネージャー

メディカルテントの内部。良く見ると点滴中

 C1にはレーニン登山に精通したマネージャーが常駐していた。彼はエージェントに於ける全ての登山隊の行動を把握し、無線機で定時連絡を取る。時には危険のある登山者に、それ以上登ることのストップをかけることもある。かなり干渉は強いが、実力も経験もバラバラの多くの登山者は、どこかで管理が必要なのだろう。またBC、C1にはそれぞれドクターがおり、相談に乗り、場合によっては薬の処方を行ってくれる。

■登山の総合力が試される! 高所挑戦の山

 レーニンという山は、ノーマルルートであれば技術的な難易度は低い。しかし、高度順応、雪上技術、幕営生活、クレバス通過など、高所登山の基礎が詰まっている。多くの目に見守られる中で計画を実行でき、天候が安定すれば、登頂するチャンスも大きいだろう。初めて7,000mという標高に挑戦するには最適な山だと感じた。それが私のレーニンに対する客観的な感想である。

キルギス峰vol.2 登山の総合力が試される!
キルギス峰vol.3 “ロシア人も多かった” 海外高所登山の話