■石龕寺

明智光秀の焼き討ちを免れた石龕寺山門
石龕寺境内

 石龕寺は飛鳥時代、聖徳太子の開基である。南北朝時代初期、室町幕府の内紛、感応の擾乱(かんのうのじょうらん)が勃発した際、足利尊氏・義詮親子が九州へ落ち延びる際、身を寄せていた寺である。太平記好きにはたまらないスポットだ。

石龕寺本堂
石龕寺本堂から見る焼尾神社

 石龕寺は、明智光秀の丹波攻めで焼き討ちされ山門を除き全焼したが、江戸時代に再建された。山の谷あいにあり、境内に3本の沢が流れる森の寺といった雰囲気。筆者が訪れた際は、もみじが色づき始めたばかりのタイミングであった。そのため場所によってはまだ青い葉も多かったが、完全に紅葉するともみじとのコントラストが美しくなる。

石龕寺の僧坊
石龕寺参道

 奥の本堂から小さな谷を挟んで見える焼尾神社には、神秘的な空気が流れている。

石龕寺
・住所:〒669-3141 兵庫県丹波市山南町岩屋2

●【MAP】石龕寺

■円通寺

円通寺山門
円通寺山門周辺はもみじが多く紅葉のピークに期待

 円通寺は室町時代、三代将軍足利義満が創建した。開山が初代将軍足利尊氏の第四子英仲法俊(えいちゅうほうしゅん)、二代目住職が関白近衛道嗣(このえみちつぐ)の第三子牧翁性欽(ぼくおうしょうきん)であるため、円通寺には足利家と近衛家の家紋が至るところにある。

円通寺放生池(ほうじょうち)を渡る参道。紅葉ピーク時は真っ赤に染まる
円通寺本堂
円通寺本堂の床下にあった足利家の家紋入り瓦

 円通寺も明智光秀の丹波攻めで焼き討ちされかけたが、地元の豪族の荻野喜右衛門が光秀の本陣に赴き必死の説得。結果、兵火を免れた。

円通寺本堂裏の土蔵と氷上町指定天然記念物タブノキ
円通寺前のコスモス畑

 円通寺も山門から本堂に至るまで、寺のどこでも美しい紅葉を楽しめる。しかし筆者は、境内の端や本堂裏など、目につきにくいところに美しいスポットが多いように感じた。

円通寺
・住所:〒669-3633 兵庫県丹波市氷上町御油983

URL:https://tannbaenntuuji.sakura.ne.jp

●【MAP】円通寺

■今すぐ訪れたい、丹波紅葉三山

 丹波紅葉三山は交通の便が悪い。しかし、それは秋のドライブやツーリングには最適なスポットということでもある。

 丹波紅葉三山は一般的な紅葉スポットとは異なり、人混みや喧噪を避けて静かに紅葉を楽しめるのが魅力。歴史的な背景や建築物はもちろん、それぞれの寺院によって紅葉の景色が異なるため、飽きることなく紅葉狩りを楽しめる穴場だ。

 今年は11月中旬から紅葉狩りのベストシーズンに入っている。静かに紅葉を楽しみたい人は、丹波紅葉三山を満喫しに行こう!