■おすすめは、お湯を沸かさなくても温かい飲み物が飲める「保温水筒」
「サーモス山専用ボトル」は「山専ボトル」と呼ばれ、6時間後にも約80℃をキープできる登山愛好家に人気の保温水筒だ。山専ボトルがあれば、カップラーメンを作ることもできるのだ。もちろんお湯だけでなく、お茶や甘い飲み物を入れることもできるが、普通の保温水筒のつもりで飲むと火傷してしまうので要注意だ。
もちろん一般的なステンレスの保温水筒でも温かい飲み物を入れていくことで、山中で冷えた体を素早く温められる。
バーナーでお湯を沸かす作業は天候がよければ楽しいが、寒さや強風の中では待ち時間が辛い。悪条件下では身体を冷やさないためにも、素早く昼食をとったり温かい飲み物を飲むことを優先したいので、さっと取り出せる温かい飲み物は万が一の場合の備えにもなる。秋から冬のトレッキングでは、保温水筒は必ず持つようにしよう。
筆者は800mlの山専ボトルにお湯を入れ、ランチのスープやコーヒー用(2~3人分)として使っている。また、行動中の水分補給用として350mlの保温水筒には自宅で作ったオリジナルドリンクを入れている。中身は甘い紅茶で、アールグレイをティーバッグで濃い目に入れ、大さじ2杯の砂糖を溶かしている。日ごろ紅茶は無糖派なのだが、山では不思議とちょうどよく感じる。
登山では疲労回復やエネルギー補給の意味もあって、砂糖は多めがおすすめだ。なお、350mlの紅茶を飲み干してしまっても、山専ボトルのお湯が余っているので安心だ。
■常温の飲み物や予備の水も忘れずに
秋や冬のトレッキングでは、温かい飲み物だけではなく、常温の飲み物も必ず持っていこう。特に登りでは思いのほか汗をかく。衣服での調節も重要だが、暑さを感じるときは、温かい飲み物よりも常温の飲み物のほうが欲しくなることもある。
筆者は500mlのプラスティック水筒(ナルゲンボトル)2本に水道水を入れて持って行っている。1本は登りの水分補給用として、筋肉疲労を軽減させる効果が期待できるBCAA(分岐鎖アミノ酸)粉末を溶かしている。
2本目のボトルは予備。登りでも寒くて温かい飲み物がほしい場合もある。その時は無理に常温の水分は摂取せずに、衣服の調節同様に温かい飲み物か、常温の飲み物か必要なほうを摂取するようにしている。
■冷えた体を内側から温める! 素早く摂取できる甘くて温かい飲み物は必須
秋冬の登山は急な天候変化や、稜線や頂上の風の強さなどに対応した装備が必要だ。ハイキングやトレッキングレベルの山であっても天候次第では危険なコースとなるため、風や寒さへの備えは必要だ。
服装が一番重要と考えがちだが、冷えた体を内側から温められる「温かい飲み物」も重要だ。ガスのバーナーでお湯を沸かす方法は、寒冷地で火力が弱くなる可能性があることや、準備に手間がかかるデメリットもある。
冷えた体を素早く内側から温めるには保温水筒は心強い。安全装備としても、保温水筒を1本は持って行ってほしい。もちろん温かい飲み物の種類や量は、個々の好みによって調整してほしい。