納古山の山頂は広く、木製のテーブルやベンチも。木曽御嶽が間近で、絶景の休憩スポットでもある

 ときを経て2021年のこと。BRAVO MOUNTAINの執筆者でもあるユーコンカワイさんが書いたYAMAP MAGAZINEの記事が大いにバズり、川辺町にある遠見山という低山と、そこから眺められる「岐阜のグランドキャニオン」の存在が広く世に知られることになった。

 このあたりは何度も探索した山域なのに、じつはこの記事を読むまでぼくは遠見山のことを知らなかったのだ。すぐに地図で確認してみると、あの納古山から縦走できる山だと気がついた。

 それならばと、遠見山で「岐阜のグランドキャニオン」を眺めてから納古山まで縦走しようと、すぐに旅支度をして出発。その日はすこぶる天気がよく、遠見山から眺めるグランドキャニオンはもちろんのこと、納古山からの眺めもスーパーだった。はたして、遠見山だけの往復なら初心者にもチャレンジしやすいだろうし、熟練者なら納古山まで縦走するのが楽しいだろうと、ぼくは思ったのだった。

■噂の絶景までは山道を30分足らず。物足りなければ縦走も可能

見晴らし岩から飛騨川の下流方面。橋の往来に、地元の日常の暮らしの様子が感じられる

 遠見山はJR高山本線の下麻生駅から近く、交通の便がとてもいい。いまではたくさんの登山者が訪れるようになり、無料で停められる町営の駐車場が平和錦酒造前などにできている。さあこれから登ろうというときに、冷やし甘酒やソフトクリームの甘い誘いが……。遠見山だけで下りてくる人は、ぜひ帰りに寄り道したいところだ。

 線路下をくぐりぬけ、歩きやすく整備された山道を登ること30分足らず。早くも見晴らし岩に到着する。ここが「岐阜のグランドキャニオン」の眺めを楽しめる絶景ポイント。見晴らし岩の上に立って見下ろすと、遮るもののない絶好の視界で麓の景観を楽しむことができる。

 いやはや、壮観だ。